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Bリーグ1年で最も成長したチーム。
個性と成熟、ジェッツが求める両極。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/07/27 11:00
千葉ジェッツはSNSなどファンサービスも多彩なチーム。船橋アリーナは千葉の新たな名所になっている。
大野コーチ「チームとしての成熟度で負けた」
他には、22点のリードを守り切れなかったCSに代表されるように、圧倒的な攻撃力と爆発力を兼ね備えてはいても、その力を上手くコントロールすることができなかった点が課題としてあげられる。
そもそも、レギュラーシーズンの勝率でアルバルク東京と並びながら東地区3位に終わったのは、直接対決の得失点差で劣っていたからだ。彼らは4月のアルバルクとの試合でも最大19点差をつけながら、最終的には6点差までおいあげられ、それが結果的に地区3位につながる遠因となった。
つまり、リードを奪ったあとの戦い方に大きな課題があったのだ。大野はその理由をこう語る。
「ボールに対する執着心、1つのポゼッションをどれだけ大切にするか。特に流れが悪くなったときに、それが出来なかったところが一番の問題かなと思っています」
チームとしての約束事を守らせるために、策は講じてきた。選手たちの心に忍び込む慢心や気の緩みを取り除くように、細心の注意を払っていたつもりだった。
しかし、大野はこう振り返る。
「戦術や戦略で負けたのではなく“チームとしての成熟度”で負けたと思っています。成熟させられなかったことは、コーチとしての自分の力量不足です。それなりに勝てたことで、問題を見逃してしまいました。チームカルチャーやアイデンティティーについて、さらに問い続けないといけませんし、そのためのアプローチも変える必要があるかもしれません。『ジェッツはチームとして成熟したね』と言われるくらいのチームになりたいんです」
CSのコート上での言い合いも、成熟度の低さが露呈したものだった。
ジェッツは“ゲリラ的な戦い”をしていた?
3チームを渡りあるいてジェッツにたどり着いたベテランの伊藤はこう話す。
「それぞれの選手が、すごく成長したと思います。チームとしても、開幕の頃と比べるとケタ違いの戦いが出来るようになりました。ただ、組織として成熟しているチームは悪い流れの中でも、耐えられるんですね。僕たちは足りないものに目をつぶりながら、ある意味で“ゲリラ的な戦い”をしていた部分があると思うんです。
横綱みたいな相撲がとれるようになるまでには時間がかかるということかもしれません。個人的には、これからチームが同じ方向を向くための何かをやっていければいいなという風に思っています」