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Bリーグ1年で最も成長したチーム。
個性と成熟、ジェッツが求める両極。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/07/27 11:00
千葉ジェッツはSNSなどファンサービスも多彩なチーム。船橋アリーナは千葉の新たな名所になっている。
小野も、富樫も、石井も1年で見違えた。
キャプテンの小野龍猛は、シーズンの最後にこう話した。
「天皇杯では優勝しましたし、シーズンの最後の方はチームとしての完成度もすごくあがってきました。そこは胸を張っていいところだと思います」
ポイントガードとしてチームを牽引する富樫勇樹の言葉もポジティブだ。
「レギュラーシーズンの結果は東地区3位でしたけど、以前は差があったアルバルク(東京)や栃木とも、互角かそれ以上の戦いを出来ました。チームとしても個人としても、本当に成長できた1年でした」
シューティングガードの石井講祐は、チームの進化を体現する存在かもしれない。29歳という年齢ながら、1年で見違えるほどの成長を見せた。
「外れたら、自分を使ったコーチが悪いと思え」
ヘッドコーチの大野は現役時代はシューターだった。その経験を踏まえて、石井にこう声をかけ続けてきた。
「打てるチャンスが来たら、とにかく打て。外れたかどうかは気にするな。シュートが外れても、自分を使っているコーチが悪いと思っていればいいんだ!」
大野はその意図について、こう説明する。
「シューターとして1年間シュートを打ち続けることで、見えるものがあるんです。その上で、足りないものに気づき取り組んでいく。もちろん彼には他のことも出来ると思いますが、チームメイトに依存する部分があってもいい。そうすることがチームとして相乗効果を生むんじゃないか、と考えていました」
石井の3P成功率は、シーズン通算で41.8%を記録した。200本以上の3Pシュートを放った選手のなかで堂々のリーグ2位。石井はその理由を教えてくれた。
「ボールをもらいにいく前の動作が、シュートを狙うための動きになってきました。しかも、たとえそこでシュートを打たなくても、きれいにパスがつながったりする場面も多くて、数字に表れない部分でも貢献できたと思います」
石井は、こんな興味深い指摘もしている。
「シーズンの初めのころは、なんで勝ったのか、なんで負けたのかがわかっていない感じもあったんです。でもシーズンが進むにつれ、『自分たちの強みはこれだ』とはっきり認識するようになりました。だから、チームはだんだんと強くなったと思います」