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Bリーグ1年で最も成長したチーム。
個性と成熟、ジェッツが求める両極。
posted2017/07/27 11:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
かかわる者みんなが夢を見た。どこまでも高く飛んでいきそうな気配があった。
Bリーグ初年度に最も成長したチームは?
その問いには簡単に答えられる。
千葉ジェッツだ。
しかし、優勝候補として臨んだチャンピオンシップ(CS)では、栃木ブレックスに22点差をひっくり返されての敗退。試合中に選手同士が口論するシーンが見られたことで「内紛」や「自滅」とも報じられ、彼らの戦いはあっけなく幕を閉じた。
その背景には何があり、優勝するためには何が足りなかったのか。なぜ、彼らは人々を惹きつけたのか。そして、これからどこへ飛んでいこうとするのか。1年目を終えて、多くのことが検証されなければならない。
栃木がCSでジェッツに勝った翌週のこと。当時、栃木に所属していた渡邉裕規が語った。
「正直に言うと、千葉に勝ったのはすごく自信にしていいと思います。他のチームがどうだということではないですけど、オールジャパン(天皇杯)に優勝し、あれだけの勝率をあげたチームと戦って、CSの1回戦で勝てたというのは凄いはずみになっています」
渡邉だけではなく、ジェッツとの戦いで得たものの大きさを口にした選手は、田臥勇太や川崎の篠山竜青など数多くいた。
人気はもともと日本でも有数だったが。
開幕当初は、日本バスケ界で最も多くの観客とスポンサーを集めるチームというのが、ジェッツの前評判だった。競技面でそれほど大きな期待を受けていたわけではない。そんなチームが、なぜ台風の目になれたのか。
Bリーグ開幕に合わせてジェッツにやってきた指揮官の大野篤史は、『Be Professional』というスローガンをかかげた。
お客さんを集めるプロとして、勝敗にかかわらず、見に来てもらえるような魅力を持ったチームを作らなければいけない。
しかし集客だけが目標ならば、バスケットボールチームである必要がない。
相手と戦うスポーツで欠かすことの出来ない“闘う姿勢”を、エナジーとともに表現し続ける。お客を集めるエンターテインメントと、バスケで相手を倒すスポーツ面の目的とを、プロとして両立させる。そんなスローガンだった。
そして1年、掲げた理念に違わず彼らはリーグで最も成長したチームになった。