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J1で最も“コスパ”がいいのは磐田!
費用対効果で見るJ1、J2の経営力。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byYuki Suenaga
posted2017/07/25 08:00
鹿島アントラーズは伝統的に極めて「コスパ」のいいチームだ。その事実もまた、彼らの目に見えない強さを物語っている。
ポドルスキの3分の1で全体を賄う町田ゼルビアの奮闘。
費用対効果にもっとも優れていたのは、FC町田ゼルビアである。
チーム人件費は1億8900万円(!)で、J2リーグでもっとも少なかった。ヴィッセル神戸に加入したルーカス・ポドルスキの推定年俸は6億円だから、その3分の1ほどでチーム全体の年俸を賄っていることになる。'16年度のJ3クラブと比べても、13チームで5番目である(FC東京、ガンバ、セレッソのU-23は除く)。かくもつつましいチーム人件費で、リーグ7位に食い込んだのだから素晴らしい!
'14年から'15年、'15年から'16年の町田のチーム人件費は、3000万円から4000万円の幅で増額されている。'17年も同様に増えているとしても、J2リーグの下位に変わりはない。24節終了時で9勝8分7敗と勝ち越している相馬直樹監督と選手たちの奮闘は、今シーズンも評価されていい。
ジュビロの名波監督、長崎の高木監督はさすが。
町田と対照的なのがジェフ千葉だ。'16年は前年から1億円以上減っているが、9億円弱の人件費を確保している。松本山雅をわずかに上回り、リーグ4位の規模だ。リーグ戦の順位が11位では、納得できるはずはないだろう。
'16年度の予算から'17年シーズンの戦いぶりを評価すると、J1ではジュビロ磐田の費用対効果が目を引く。10位以下の人件費でここまで7位をキープしているのは、名波浩監督のチーム作りが実を結んでいるからだろう。2017年のJ1前半戦で、もっと費用対効果に優れたチームと言っていいはずだ。
J2では24節終了時で4位のV・ファーレン長崎が、人件費の少なさを跳ね返している。就任5年目の高木琢也監督は、毎年のように入れ替わる戦力を効果的に活用している。同節終了時で11位の水戸ホーリーホック、同12位の町田、同13位でJ2復帰1年目の大分トリニータも、限られた人件費でJ2リーグを盛り上げている。
プロスポーツとお金は切り離すことができないが、お金があれば結果を残せるのか。お金をかけなくても勝てるのか。費用対効果からJリーグを見つめると、また違う面白さに気づくはずだ。
●2016年度のJ1各クラブの人件費
1 浦和 23億8100万円 (2)
2 神戸 20億6800万円 (7)
3 FC東京 20億2500万円 (9)
4 名古屋 19億8400万円 (16)
5 横浜FM 19億6600万円 (10)
6 鹿島 19億2900万円 (1)
7 G大阪 19億0000万円 (4)
8 柏 17億5300万円 (8)
9 川崎F 16億4300万円 (3)
10 広島 15億5300万円 (6)
11 鳥栖 14億7600万円 (11)
12 大宮 14億1100万円 (5)
13 磐田 13億7800万円 (13)
14 新潟 12億2000万円 (15)
15 仙台 11億8700万円 (12)
16 福岡 9億3700万円 (18)
17 湘南 7億9800万円 (17)
18 甲府 7億3600万円 (14)
※カッコ内の数字は年間順位
●2016年度のJ2各クラブの人件費
1 C大阪 14億9400万円 (4)
2 清水 14億7300万円 (2)
3 京都 9億6500万円 (5)
4 千葉 8億9900万円 (11)
5 松本 8億6300万円 (3)
6 徳島 7億3100万円 (9)
7 札幌 7億0300万円 (1)
8 岡山 5億6800万円 (6)
9 横浜FC 4億6400万円 (8)
10 東京V 4億3600万円 (18)
11 山形 4億2900万円 (14)
12 岐阜 4億1900万円 (20)
13 北九州 3億4300万円 (22)
14 長崎 3億2200万円 (15)
15 熊本 3億1500万円 (16)
16 愛媛 3億0600万円 (10)
17 金沢 2億9600万円 (21)
18 讃岐 2億8700万円 (19)
19 水戸 2億6200万円 (13)
20 山口 2億3100万円 (12)
21 群馬 2億2800万円 (17)
22 町田 1億8900万円 (7)
※カッコ内はリーグ戦の順位