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J1で最も“コスパ”がいいのは磐田!
費用対効果で見るJ1、J2の経営力。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byYuki Suenaga
posted2017/07/25 08:00
鹿島アントラーズは伝統的に極めて「コスパ」のいいチームだ。その事実もまた、彼らの目に見えない強さを物語っている。
タイトルは無縁でも、甲府は評価に値する。
年間5位に食い込んだ大宮アルディージャは、人件費がリーグ12位だった。J2に降格した'14年シーズンより、およそ3億円少ない。'16年は降格ゾーンをさまようことがなく、シーズン中の緊急補強を避けられたことで人件費が膨らまなかったこともあるが、継続性を重視したチーム作りが成果に結びついた。もっとも、J1復帰2年目の'17年は苦闘を強いられ、すでに監督交代へ踏み切っているが……。
人件費でもうひとつ触れるべきチームは、ヴァンフォーレ甲府だろう。'14年はリーグ最少の人件費で13位、'15年はリーグで3番目に少ないなかで年間13位、'16年は再びリーグ最少の人件費で年間14位と、J1残留を果たしてきた。過去3年は7億円台に収めている。
'14年の徳島ヴォルティス、'15年の松本山雅FC、'16年のアビスパ福岡らは、甲府よりもチーム人件費は多かったが、J2降格を避けられなかった。堅実なチーム人件費でJ1に踏みとどまっている甲府は、タイトルこそ無縁でもしっかりとした費用対効果を弾き出していると言える。
J2だったC大阪と清水の昇格は、必然だった?
J2はどうだろう。
'16年シーズンのセレッソ大阪と清水エスパルスのJ1昇格は、その理由を人件費からも読み取ることができる。どちらのチームもJ2では抜きん出た資金力を持ち、J1規格の選手を揃えることができていた。
その2チームを抑えて優勝を勝ち取ったコンサドーレ札幌は、人件費では7位だった。荒野拓馬ら育成組織出身の選手が多く、キャプテンの宮澤裕樹も高卒の生え抜き選手で、即戦力の補強に寄りかかったチーム作りをしていない。このため、人件費を抑えることができているのだろう。
リーグ戦の順位が3位だった松本山雅と同5位の京都サンガも、J1昇格プレーオフへの進出に驚きはない。京都の人件費はセレッソと清水に次ぐ3位で、松本は5位だからだ。プレーオフ準決勝で松本を破ったファジアーノ岡山も人件費は8位だ。こちらも、6位以内が進出するプレーオフの出場は現実的だった。