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サンウルブズ快勝は想像以上の快挙。
今こそラグビー日本代表の利益に。
 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2017/07/20 07:00

サンウルブズ快勝は想像以上の快挙。今こそラグビー日本代表の利益に。<Number Web> photograph by AFLO

暑さの中でも足が止まらない。気候を味方につけて運動量で勝負しきる形は、日本代表にとってもヒントとなるかもしれない。

現状認識と成功体験というふたつの経験値。

 経験にはふたつの側面がある。

 ひとつ目は現状認識である。

 世界のトップクラスと対戦することで、自分の強みや課題を知るのだ。

 ふたつ目は成功体験である。

 世界のトップクラスを相手にしたゲームで、自分たちのストロングポイントを発揮する。そのうえで、勝利をつかむ。1つの勝利が、次の勝利を生み出す。

 成功体験の積み重ねは、自信に芯を通す。勝負どころで相手に試合の流れを渡さない、渡してしまっても何とかしてしのぐ、といったたくましさにつながっていく。勝敗を度外視して経験を積むだけでは、継続的に結果を残すことはできないのだ。

サンウルブズが勝つと、代表の圧力になる。

 相対的な視点に立っても、勝利には大きな意味がある。

 日本代表との関連が深いサンウルブズが勝利を重ねていけば、スーパーラグビーにチームを送り込む南アフリカやオーストラリア、ニュージーランドやアルゼンチンの代表チームもおだやかな気持ちではいられないだろう。代表チーム同士で対戦する際に、精神的な圧力をかけることができるはずだ。

 サンウルブズは年間を通して活動するチームではない。様々な事情により、メンバーの入れ替わりも頻繁に行われる。チームとしての練度を高めるのは難しい。今シーズンはケガ人の続出にも苦しめられた。

 アウェイゲームは移動距離が長い。激しい消耗戦を強いられる。それなのにホームで戦うメリットも限定的だ。地理的な理由からシンガポールを準ホームとし、今シーズンは秩父宮ラグビー場で4試合しか開催できなかった。

 サンウルブズが結果を残すための課題は多いが、このままの体制では2018年シーズンも苦戦は避けられない。だとすれば、何かを変えていかなければならない。

【次ページ】 トップリーグには負担になってしまうが……。

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ジェイミー・ジョセフ
福岡堅樹
サンウルブズ

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