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NBA流スーパーチームの作り方。
オフの素早い移籍活動は選手主導!?
posted2017/07/05 08:00
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph by
Nathaniel S. Butler/NBAE via Getty Images
NBAファイナルが終わって約3週間。長いシーズンが終わり、オフに入った矢先に、次々と大きな移籍や人事異動が発表された。
NBA関係者に休む暇はない。今年はドラフトも注目選手が多く、大物FAとの動きも絡んでとにかく騒がしい。
なぜ、ここまで早く、さらに激しくチームが動いているのか。
それには2つの大きな理由があると思う。
ひとつは、シーズン中から大きな話題となっていたスーパーチーム作り。
今シーズンを振り返ると、開幕から西も東も圧倒的にスーパースターを多く擁するチーム(ウォリアーズ、キャバリアーズ)が有利とされ、実際にファイナルの組み合わせもこのスーパーチームの激突になった。この2チームがプレイオフをさほど苦労せずに勝ち上がったことからも、他のチームとの実力の差は明らかだった。
他のチームが今後優勝を狙うためには、彼らと同等もしくはそれ以上のスーパーチームを作らなくてはいけない。その焦りがオフの動きを激化させているのだ。
しかし、このスーパーチームの存在により、リーグ全体のバランスが崩れるという懸念が、NBA関係者の間で日に日に広がっている。
NBAの歴史はスーパーチームの歴史である。
確かにNBAファンでも、毎年どのチームが勝つかわからないといった戦国時代的展開を求める人からすると不満があるかもしれない。
しかし多くの評論家が指摘しているのは、NBAの歴史は、スーパーチームの繰り返しで成り立っているという事実だ。NBAはずっと偏ったパワーバランスで盛り上がってきたリーグで、全体的にバランスが整っていた時の方がむしろ少ない。
歴史を振り返れば、1950年前後、ミネアポリス時代5度優勝したレイカーズ。ビル・ラッセル時代のセルティックス。“Mr.ロゴ”のジェリー・ウェスト、エルジン・ベイラー、そこにウィルト・チェンバレンを加えた'60年代のレイカーズ。これはスーパーチーム以外の何物でもない。
古過ぎてピンと来ない人は、'80年代のDr.Jことジュリアス・アービング、モーゼス・マローン、モーリス・チークスの76ersでもいい。他にも、ラリー・バード、ケビン・マクヘイル、ロバート・パリッシュらを擁したセルティックスや、ほぼ同時期のマジック・ジョンソン、カリーム・アブドゥル=ジャバー、ジェームズ・ウォージーの“ショータイム”レイカーズがいるし、アイザイア・トーマス、ジョー・デュマーズとその他“バッドボーイズ”時代のピストンズを思い出して欲しい。