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NBA流スーパーチームの作り方。
オフの素早い移籍活動は選手主導!? 

text by

長澤壮太郎

長澤壮太郎Sotaro Nagasawa

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photograph byNathaniel S. Butler/NBAE via Getty Images

posted2017/07/05 08:00

NBA流スーパーチームの作り方。オフの素早い移籍活動は選手主導!?<Number Web> photograph by Nathaniel S. Butler/NBAE via Getty Images

彼らを凌駕するチームは現れるか。

いつの時代もスーパーチームは存在したのだが……。

 それも知らない20~30代のファンは、ポール・ピアス、ケビン・ガーネット、レイ・アレン、レイジョン・ロンドがいた頃のセルティックス。コービー・ブライアント、シャキール・オニールのレイカーズ、レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュのヒートを振り返ってみるのも良いだろう(ピストンズファンには、チャンシー・ビラップス、リチャード・ハミルトン、ベン・ウォーレスとラシード・ウォーレスも忘れられませんね)。

 ケビン・デュラントを加えたウォリアーズやレブロンが率いてきたスーパーチームも、これまでNBAが繰り返して来た歴史の一部なのだ。

 興味深いのは、最近のスーパーチームの作られ方が決定的に変わったことだ。

NBA史上で圧倒的な実績を持つ4人のカリスマたち。

 今までのスーパーチーム構想は球団のカリスマ的存在の人物によって画策され、ドラフトやトレードによって水面下で行われていた。交渉事も球団やその人物が描いた壮大な計画に則して遂行されてきた。

 特にNBAでは歴史上、複数回優勝に必ず絡む4人の“マスターマインド(偉大なる指導者)”が存在している。

 1946-47年から2016-17年まで、71回のNBAチャンピオンが生まれている。

 その中の驚くべき数字として、この4人がアシスタントコーチ時代を含めて指導者として関わったチームがNBAファイナルに出場した回数は52回、選手時代も含めると優勝回数の合計は実に43回にも上るという事実がある。

 単純に考えて、NBA王者の約60%がこの4人の作ったチームから出ていることになる。

 その4人とは、レッド・アワーバック、フィル・ジャクソン、パット・ライリーとグレッグ・ポポビッチである。

 彼らのカリスマ性、計画性、タレントを見極める力、求心力、指導力、そして何よりもオーナーから潤沢な資金を引き出す力が成功する球団作りの秘訣であった。

 そうした力でアワーバックはボストンに16回、フィルはシカゴとロスに11回(選手時代にもさらに2回)、ライリーはロス、マイアミに9回、ポポビッチはサンアントニオに5回もの優勝をもたらしている。

 今まではこの人達やその弟子達に球団経営を任せることが、成功への近道でもあった。選手も勝ちたい一心で勝ち方を熟知している彼らのもとに集まっていた。

 つまりスーパーチームは、球団側主導で結成されていたのだ。

 しかし時代の流れとともにこのバランスは崩れ始めた。現在、球団側よりも選手に選択権があるのは明らかだ。

【次ページ】 移籍前から新チームの内情を全て把握していたレブロン。

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