野球善哉BACK NUMBER
2番梶谷、9番倉本、そして3番筒香。
ラミレス監督の奇策が成功する理由。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2017/07/04 07:00
NPBでの指導者経験がない状態で監督に就任したラミレス監督。しかし、彼の手腕を疑問視する人はもういない。
筒香「僕らに話す前にメディアに口にすることはない」
しかし、ラミレス監督がしたたかなのは、単なる指揮官の決断だけで終わらせないところだ。簡単には真似できない、彼のリーダーとしての秀でた資質が、コミュニケーション能力だ。
外国人監督はコミュニケーションが弱点だと思われがちだが、ラミレス監督ほど選手との対話を重視する指揮官はそういない。
キャプテンを務める筒香が、昨季、面白いことを話していた。
「ラミレス監督は試合のための練習をされますし、無駄な練習をしなくなりました。ただそれ以上に、選手とのコミュニケーションをしっかり取る人だと思います。本当に監督と話す機会が多くなりました。みんなに常に声をかけてくれます。そして、何か戦略での決定ごとに関して、まず選手に話します。僕らに話す前に、先にメディアに口にするようなことはありません。その違いは大きいと思います」
筒香は打順変更に関して、メディアから「4番のプライドは?」と訊かれることもあったが、「こだわりとかないですし、引っかかるものはいっさいない」と意に介していない。
筒香たち選手からしてみれば、どんな決定も最初に選手に話してくれることが、1人の人間としてリスペクトされていると感じるのだろう。今季序盤の山崎康晃の配置転換や先の倉本9番も、まず最初に本人たちに伝えられている。このコミュニケーションが、組織を上手く潤滑させている。
「誰よりも野球を知っているのは監督」
筒香の言葉を聞いていて感じるのは、「4番交代」という負の要素より、もっと前向きなものなのだ。
筒香はいう。
「チームが勝つために最善の策を監督が選んでいると思いますし、誰よりも野球を知っているのは監督だと僕たち選手は感じています。その場しのぎの野球をしないですし、先のことを考えてのことだと思うので、期待に応えられるような仕事をしたい。監督を信じて、シーズンの終了まで戦い抜くことがベストだと思います」