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2番梶谷、9番倉本、そして3番筒香。
ラミレス監督の奇策が成功する理由。
posted2017/07/04 07:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
“サードチャレンジ”が進行中だ。
セ・リーグ3位のDeNAが、6月30日の巨人戦から打順を変えた。
これまで4番を務めていた筒香嘉智を、3番に起用する新たな試みに打って出たのである。
「筒香の調子はいいですけど、もう少し貢献してもらうために、彼がやりやすくするために、30日の巨人戦から筒香を3番で使おうと思います」
DeNAにとって3つめの大きなチャレンジについて、ラミレス監督はそう語っていた。
昨季からDeNAの指揮を執るラミレスは、これまでの日本野球界の常識にチャレンジしてきた。
それが監督就任直後にぶち上げた「2番・梶谷」であり、今季途中から取り入れた「投手・8番」構想だ。2番・梶谷隆幸が真の意味で定着したのは今季からだが、9番に投手ではなく倉本寿彦を置くスタイルは、試合前の監督会見で度々話題に上がるほど目新しいチャレンジだった。
筒香を3番に据える、という狙いは……。
この2つだけでも斬新だったのに、次なる一手として「3番・筒香」に着手したのには驚かされた。
「筒香が4番を打っていると2死から回ってくることが多く、勝負を避けられることもあった。3番にすると、後ろにロペス・宮崎が控えているので、勝負してくるだろうと決断しました」
現在のDeNA打線は粒ぞろいである。しかし広島や、リーグは異なるもののソフトバンクに比べると、やや層の厚さには欠けるところがある。上手くはまった時の破壊力が高いことはこれまでの戦いで実証されているが、どこからでも得点を奪えるという点では、やや物足りない。
ならば、好打者を固めるラインアップにして一気に畳みかけてしまうというのは、至極、納得のいく戦略といえるだろう。