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曹監督から見たら「もっとやれる」。
愛弟子・遠藤航の心には響いたか。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/07/01 07:00
湘南で遠藤の才能を発掘した曹監督。当時の成長曲線を知るからこそ、浦和での動向も気にかけている。
「今後を考えた時、世界で挑戦したいと思うなら……」
湘南ではよく“先生”という表現で例えられる曹監督。1つひとつ言葉を選びながら語る様子には、教え子への熱い思いを感じることができる。そして、選手たちとの対話を大切にしてきた指揮官だからこそ、遠藤に対しても言えることがある。
「チームのやり方は置いといて、やっぱりデュエルがたくさんある場所においてあげれば、彼の状況判断力や危険察知能力などは、もっと高いレベルでやれるのではないかなという思いは昔からあった。だから、移籍して伸びているか、伸びていないかと聞かれたら、もちろんいろいろな意味で経験もしているので伸びていると思う。でも自分の中では、彼の今後を考えた時、世界で挑戦したいと思うならば、もっとやれるんじゃないかなという思いはあるよね」
その言葉の裏には、曹監督なりの期待値の高さが伺える。
湘南時代は“湘南に遠藤あり”と言わしめるほど、特別な選手として強烈なインパクトを残し続けていた。だが、日本代表はともかく、浦和でもまだまだ絶対的な存在にまでは至っていない。それがいかに難しいことかはわかっている。それでも、日本を代表する選手になることを信じてやまない指揮官としては「もっとやれる」というのが本音だろう。
2人の言葉で共通した、状況判断力という部分。
もちろん遠藤の成長に対しては「状況判断力がさらに良くなっている」と太鼓判を押している。1つの局面を切り取ってみても、選択するプレーの質が以前より上がっているのだという。その評価に対して、遠藤はこう答えている。
「自ずと自分のところが浦和のサッカーではすごく大事になってくる。守備でのちょっとしたポジショニングや、行く、行かないをはっきりしないと、そのままピンチになってしまう。そういった意味では上手くいかない時の対応力や状況判断力というのは付いてきていると思います」
どんな場面でも常に最悪を想定しながら最善のプレーを心がける。その判断が攻撃的なスタイルの中では一番の難点となるが、それを平然とやってのける姿は湘南時代から変わらない。いつでも頼もしい背中がピッチには存在している。