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なぜ青木宣親はMLBで需要があるか。
車でも、試合中も欠かさない作業。
posted2017/06/15 07:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
プロには失礼な言葉だと承知している。
でも、敢えて書きたい。
青木宣親は、「頑張り屋さん」だ、と。
取材に行くたび、話を聞くたび、いつもいつもバッティングのことを考えていた。神宮でも。ミルウォーキーでも。キャンプ地のアリゾナでもフロリダでも。
佐知夫人からこんなことを聞いたことがある。
「家に帰ってくると、まずは映像でバッティングの確認をしていますね」
そういえば、アリゾナでオープン戦が終わった後、一緒に車に乗ると、「ちょっと待ってくださいね」と言ってから、いきなり車内で自分の打撃フォームを映像で確認していた。
「自分の感覚が残っているうちに映像で確かめたいんです。そうすれば、感覚のズレをすぐに修正できるから」
常にフォームを調整し、試合中も映像を確認する。
青木は感覚の人である。
その日、自分が感じていることを大切にしている。バットを持った時、自分が何を感じているかを。
「バットは同じ重さでも、体調によって軽かったり、重かったりしますからね。それを試合前のバッティング練習で確認しつつ、調整する感じです」
私がテレビ番組の司会をやっていた時、毎週、青木の打撃フォームを見ていた。面白いことにバットの角度、スタンスが毎週のように変化していた。調整しながらベストのフォームを探していた。
そしていま、メジャーでは映像をどう生かすかもポイントになっている。ある意味、情報の洪水の中で、自分に有益な情報を取り出す能力が求められている。試合中、打席を終えた後もダグアウト裏に行って、自分のフォーム、そして相手投手の投球を青木は確認している。