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9回以上に、7回が勝負を分ける?
山崎康、中崎、牧田が語る継投論。
posted2017/06/05 17:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
その役割は本当に“降格”なのか。
一時期、本職のクローザーではなく、7回にマウンドへ上がっていたDeNA山崎康晃のピッチングを見て、そう思わずにはいられなかった。
山崎が7回を担当していた頃、DeNAは好ゲームばかりを演じていた。山崎が7回に登板した試合では、チームは7勝2敗。彼のピッチングが相手の攻撃をせき止め、流れを呼び込んでいるのは疑いようがなかった。
ちょっとマニアックなデータだが、同様のケースを調べてみると、今季7回時点で試合をリードしているチームが、7回の相手の攻撃を抑えた場合は、125勝6敗(延長戦の勝敗は除く。筆者調べ)という圧倒的な差が出ているのだ。
試合の流れを変えるかもしれない1イニング。
実際に取材を進めていくと、選手たちも7回の重要性を感じているようだった。
「ダムが決壊するように打たれる可能性が」(山崎)
7回の登板をすべて自責点0に抑えて、今はクローザーに返り咲いた山崎は言う。
「(7回を投げるのも)大変でしたよ。もちろん、どのイニングで投げるのもしんどさは変わらないんですけど、9回が必ずしも相手打線の3、4、5番に当たるとも限らない。7回は、ダムが決壊するように打たれる可能性があるイニングなので、ここで流れを止めに行くんだと重要性を感じながら投げていましたね」
試合を締めるうえで、もっとも重要なのはクローザーだという考え方が一般的だ。もちろんクローザーは重要だが、しかしそれと同じくらい、7回も神経を使う回なのだ。