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9回以上に、7回が勝負を分ける?
山崎康、中崎、牧田が語る継投論。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2017/06/05 17:00
セットアッパーとして完璧な働きを見せた山崎は、再びクローザーとしての役割を任されている。
「7回の場合は、その後の攻撃もあるので」(中崎)
5月30日の西武vs.広島戦も、7回の重要性を痛感した試合だった。
7回を迎えた時点で、1-0の広島リード。6回まで先発の薮田和樹が粘り、その後を受けたのは、昨季のクローザー中崎翔太だった。故障により4月早々に離脱し、5月23日から一軍に復帰して今は7回を務めている。
中崎が7回を3者凡退で切り抜けると、8回表、広島は貴重な追加点を手にする。さらに9回にも3点を挙げて、試合を5-0で危なげなく勝利した。6回を終えた時点では1-0とどちらに転ぶか分からない展開だったが、7回に相手に何もさせなかった中崎のピッチングは、試合に大きく影響した。
「登板するイニングによってピッチングを変えることはしていないです。ただ、9回よりもテンポよく投げることを意識しています。7回の場合は、その後の攻撃もあるので。リズムよく投げることは大事かなと思います」
山崎のいう“ダムの決壊”を止めることが、終盤の試合の流れを作るのだ。
西武・牧田も「相手が諦める空気」を感じることが。
今季、自身が7回に登板した試合で15の勝ち星を西武にもたらしている牧田和久は、こう話す。
「僕は、どのイニングで投げようが、先発でも、セットアッパーでも、クローザーでも投げる意識は変えないです。常に考えるのは、自分のピッチングをすること。7回と9回での違いと言われれば、7回はまだ後のイニングに攻撃があるので、失点をしても取り返せるという違いがあるくらい。逆に7回をきっちり抑えることができれば、相手が諦めるような空気が出るときがあると思います」
もっとも、先発投手が好投している場合は、7回まで投げ切ることが理想だ。
いわゆるエースと呼ばれる選手、楽天の則本昂大やソフトバンクの千賀滉大、西武の菊池雄星ならば自力で7回まで投げ切り、勝っている試合を押し切ることができる。しかし多くの場合、7回はすでに継投を考えるイニングである。その試合の潮目を、どう乗り切るかが重要なのだ。