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長谷部誠「マヤ、お前なら余裕だ」
“吉田史上最高”の時が訪れた理由。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/06/01 07:00
28歳となった吉田は全身からたくましさを感じさせる。いつの間にか最終ラインの門番に相応しい風格を身につけたのだ。
吉田流の英語上達法、教えてくれませんか?
自身が言うように、サウサンプトンに移籍して以来、彼の英語力は格段に上がった。以前は、ミックスゾーンで外国人記者とのやり取りを覗き見していると、「恥ずかしいわ!」と照れ笑いを浮かべていた。ところが現在では英語で外国人記者を笑わせている。
そこで、吉田流英会話上達法を訊いてみた。どうやって、わずか数年で“ペラペラ”になったのか、と。すると彼は、自分の携帯電話を見せてくれた。画面上に、難しい英単語が並んでいる。
「日本の義務教育って、やっぱりちゃんとしているんですよ。特に文法。僕は中学の頃から、英語だけは勉強していたから、文法はわりと頭に入っている。例えば中学で習う『too~to……』で、『~すぎて……できない』とか。日本で義務教育を受けた人ならば、誰でも知っている文法だけど、これが役立つんです。だから、とにかく単語を覚えて、文法という武器に当てはめればいい。それも、むやみに単語を覚えようとするんじゃなくて、実生活での会話で、わからなかったものに絞る。科学の専門用語を覚えても、その後の生活で使う可能性は低いですからね。
今は、例えば『improperって、何だっけ』と思ったら、翻訳アプリで調べる。『不適切』という意味を知ったら、英単語と日本語の意味を紙に4、5回書き出す。10分くらい後に、自分で小テスト。完全に覚えたら、アプリの履歴から消します。そうすれば、まだ覚えていない単語だけが、ここに残っている。この勉強法を確立したのは、スマホで翻訳アプリを見つけてから。明らかに英語力が伸びましたからね。もう、アップルのスティーブ・ジョブズやGoogleの人に感謝の気持ちしかないですよ(笑)」
「イギリス人だけの会話に入って、生きた英語を聞く」
いくら頭の中に単語がたくさんインプットされても、実際の会話でそれがアウトプットされなければ、意味はない。英語の“現場力”に関しては、どのようにして伸ばしたのか。
「これが一番しんどいんですけど、イギリス人だけのグループの会話に入って、生きた英語を聞くこと。例えば日本語をうまく話せないイギリス人が、日本人が盛り上がっている会話にぽつんと入ることを想像してみてください。その人、つらいでしょ? でも、これが一番大事。自分が会話に入って、もしも話題の中心になれば、聞く力も、話す力も一気に鍛えられますから」