サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ウルグアイが過ごす「日常」との差。
U-20日本、2失点の背後にあるもの。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKenzaburo Matsuoka
posted2017/05/25 11:25
グループ突破がかかる第3戦の相手はイタリア。国としては格上だが、今大会のパフォーマンスを見る限りつけいるスキは多いにありそうだ。
アジアレベルでは表面化しなかったスキを突かれた。
日本の守備陣に、スキがあったのか。
誰の目にも明らかなミスはないのに、失点を許してしまっている。つまり、どこかにスキがあったのは間違いない。ただ、アジアレベルでは表面化しなかったスキでもある。今大会の出場国でもトップクラスのクオリティを持つ南米王者は、抜け目なく、したたかに、そして美しく、ワンチャンスを歓喜へ変えたのだった。
ひるがえって、日本はどうだったか。
チャンスは生み出した。決定機と呼べるものが、後半だけで3つあった。中央を締めてくる相手守備網を揺さぶり、久保が、堂安律が、岩崎悠人が、相手GKを脅かした。
フィニッシュの精度を欠いた、とまとめるのは簡単である。しかし、本当にそれだけだろうか。
追いかける者は、常に精神的な力みに苦しめられる。
相手GKの対応が素晴らしかったのは間違いない。決定機を阻止するたびに、GKを含めた守備陣は集中力のネジを巻き直していった。ただ、相手の足が止まっていったのは明らかなのに、日本は70分以降にこれといったチャンスを作れていない。
メンタルもフィジカルもタフネスさが問われる時間帯に、ウルグアイはスキを見せなかったのだ。
決定機と得点が比例しなかったのは、追いかける者の心理にも理由を求められる。「ここで決めなければ」という精神的な力みは、シュートの精度を微妙に狂わせるものだ。前半に許した失点が、ここでも悔やまれる。
90+1分の失点もまた、痛恨と言うしかない。
日本のゴールを打ち破ったのは、左サイドバックのマティアス・オリベイラだった。ゲームが最終盤を迎えている時間帯に、なおも攻撃に関われるフィジカルはウルグアイの逞しさを象徴する。
それだけでなく、心憎いばかりのフィニッシュでゴールを陥れるのだから、このチームの両サイドバックはクオリティが高い。