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ウルグアイが過ごす「日常」との差。
U-20日本、2失点の背後にあるもの。
posted2017/05/25 11:25
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kenzaburo Matsuoka
ゲームには「幅」がある。
5月24日に行われたU-20W杯のウルグアイ戦で、日本は0-2で敗れた。0-1の時間帯に迎えた好機を生かしていれば、1-1に持ち込めた可能性があった。後半のウルグアイは足が止まったから、同点に追いつけば試合を引っ繰り返せたかもしれない。
それでも、結果は0-2なのである。ウルグアイが勝つのであれば、換言すれば日本が負けるとしたら、2点差の敗戦は両国の力関係から導かれる「幅」の範囲内だった。
不運はあった。エースストライカーにして攻撃の起点となる小川航基が、前半20分で負傷退場してしまったのだ。内山篤監督は久保建英を投入するが、攻撃のジョーカーをいきなり切ることになったのは、その後のゲームプランに影響を及ぼしたはずである。
3人の「個」の力は、別格だった。
それにしても、ウルグアイのクオリティは高かった。
前半38分に喫した先制弾は、3つの「個」の力が結びついたものだった。
セントラルMFのフェデリコ・バルベルデが、自陣からロングフィードを供給する。ラフな縦パスではない。レアル・マドリーに所属する18歳は、スライス回転のかかったピンポイントの縦パスを通してきた。
右サイド深くでボールを収めたのは、サイドバックのホセ・ルイス・ロドリゲスである。最終ラインからトップスピードで駆け上がりながら、ピタリと足元に収めてみせた。日本の守備陣も人数は揃っているのだが、不用意には飛び込めない。
ためらいと言うには残酷なほどのささやかな「間」は、ストライカーのニコラス・スキアッパカッセへのラストパスを許すこととなる。彼の視界には白いユニフォームが飛び込んできたはずだが、アトレティコ・マドリーの一員は心に一滴の汗もかかない。冷静かつ瞬時にフィニッシュへ持ち込むと、ゴール左スミヘ突き刺した。