話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
U-20W杯で「黄金世代を超えたい」。
初瀬、小川、堂安それぞれの野心。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2017/05/20 07:00
巧みな左足を持つ堂安、豊富な運動量でサイドラインを駆ける初瀬。そしてフィニッシャーの小川。3人が待ちわびた大舞台が幕を開ける。
「メラメラしてますんで、ガツガツいきます」(初瀬)
「もう今からメラメラしていますんで、大会ではガツガツいきます。メラメラしてやらないとこれからのサッカー人生を生きていけないと思うんです。もちろん大会に出ても将来、生き残っているかどうかという保証はない。でも、選ばれたからには前(U-19選手権)と同じ轍は踏みたくないですし、このW杯に懸ける思いは誰よりも強いんで初戦から全部の試合に出て戦っていきたい。それに昨年の大会では、みんながW杯出るためにがんばってくれたけど、今回は選ばれなかった人もいる。その人たちのために自分の足が折れてでも戦いたいと思います」
初瀬の覚悟は、大会で大きな爪痕を残すことができるだろうか。
少年時代の小川航基は“ジャイアン”のようだった。
小川航基は、ジュビロ磐田ではまだ完全なレギュラーではないが、U-20日本代表では点が取れるエースストライカーだ。得点感覚に優れた選手に成長したベースは、小学校時代と中学時代にある。
“小川はジャイアンだ”
小川は小学校時代、チームメイトにそう思われていたという。というのも今からは想像ができないほど太っていたのだ。
「もう、めちゃ太っていましたね。すごい食べて体が大きかったですし、走れなかった。だから、ゴール前にいて『ボールを寄こせ』って感じで、ばんばんゴールを決めていました」
現在は逆に筋肉がつきにくい体になり、食べてもなかなか大きくなれないのが悩みでもあるが、小学校時代はその体の大きさから、まるでジャイアンのようなストライカーだったのだ。「ボールを寄こせ」と仲間に要求し、当たり前のようにゴールを決めていた意識が、小川のストライカーとしてのベースを築いた。
そして、中学生になると成長期に入って身長がぐんぐんと伸び、体型が大きく変わっていった。
「中学では小学校時代のストライカーの意識はそのままだったんですが、身長が伸びて痩せていったんです。まったくダイエットとかしなかったんですが、親がすごく食事のことを考えてくれていました。その食生活の管理がすごく大きかったですね。それで痩せて動けるようになって、走るスピードが上がっていった。今の自分のプレースタイルの原型がその時、できたという感じです」