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マルケスの走りは“勝利 or 転倒”。
MotoGP序盤の番狂わせを検証する。
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2017/04/21 07:30
アルゼンチンGPにて。転倒後、すぐに立ち上がってコース外に去っていったマルケス。怪我が無かったことはなによりだが……。
なかなかレースコンディションが安定しなかった序盤。
3月26日。ナイトレースの開幕戦カタールGPでは、午後9時のスタートが雨のために45分間のディレイとなった。
雨上がりで路面コンディションが読めず、スタート時間が遅れたことで気温も路面温度も下がるだろうという予測の中、レプソル・ホンダは本来予定していたフロントタイヤのハードを、ミディアムに変更する。
これがマルケスのフィーリングを大きく変えてしまい、我慢の走りを強いられることになり、結果は4位。喜べるリザルトではないが最低限の結果を残した。
4月9日のアルゼンチンGPでは、レース前の予定通りフロントにハードを選択して快調にラップを刻みリードを広げるが4周目に転倒。チームメートのダニ・ペドロサもレース中盤、同じ2コーナーで転倒する。
タイヤの選択ミスはなかったと語るマルケスだが、ペドロサは「転倒の原因は路面のギャップに乗ったこと。限界が探りづらかった」と荒れた路面コンディションとハードコンパウンドのフロントタイヤのマッチングに疑問を呈していた。
開幕戦からの2戦はヤマハのマシンに有利だった!?
その昔からヤマハのMotoGPマシンは、“ハンドリングのヤマハ”と言われ、どちらかと言えば、コーナーリングスピードの高さを武器とし、フロントタイヤはソフト側を選択する傾向があった。
対照的にエンジンパワーを武器にするホンダは、止めて、曲げて、加速していくという走りになり、フロントタイヤはハード側になることが多い。
そういう点で、不安定なコンディションとなった序盤の2戦はヤマハに有利に働き、実際にアルゼンチンGPでは、トップ6に4台のヤマハ勢が名前を連ねた。マルケスにとっては、まさに我慢の走りをしなければならないアルゼンチンGPだったのだが、転倒という大きなミスを犯してしまったことには変わりはない。