箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
慶應の箱根駅伝プロジェクト始動!
中心人物に聞く、独自の10年計画。
text by
神津伸子Nobuko Kozu
photograph byShigeki Yamamoto
posted2017/04/18 08:00
長距離専任コーチとして招聘された保科光作が強化の中心となる。箱根駅伝に慶應のエンブレムが帰って来るのはいつになるだろうか。
キーマンの復帰、大学の動き、かみ合ったタイミング。
発端は競走部OB会からの声だった。創部100周年を前に「若手OBの、しかも短距離グループから、駅伝強化の発案があったのが本当に嬉しかった」という。
蟹江自身も、競走部出身だ。同部は種目によって、短短・短長・中距離・長距離・跳躍・投てきとブロック分けされており、グループ内での結びつきが強い。にもかかわらず、駅伝チームが属する長距離ブロックではない仲間たちからの声掛けに痺れた。
実は、駅伝強化は過去にも何回も提案されたが、資金面や強化策など課題も多く、その都度立ち消えになって来た。事態が動いたのは2年前、蟹江が東工大から復帰し、同時に大学側からも声があがった。環境情報学部長の村井純からも「お、君、競走部だったよね。やらないか、駅伝」と相談された。
「全てのタイミングが、噛み合った」(蟹江)
走ることで、人生は切り開かれる。
「他校は他校。慶應は、慶應の手法でやっていく」
競走部の練習場である日吉陸上競技場で、夕方から練習を開始する部員たちを見守りながら口を開いたのは監督の川合伸太郎だ。ラボとの連携を強めながらも、現場の強化に余念がない。
「何よりも選手育成に強力なコーチ・保科を招いた事は大きな力になっている」(川合)
すでに、保科は長距離ブロックの練習につきっきりで選手たちの指導に当たっている。
「僕は“走る”事で、人生を切り開いてきた。走る事は人生そのもの。今回の仕事はプレッシャーはありますが、逆にその重圧がなければダメなのだと思います」
まだお互いに手探りではあるが、学生たちに技術面だけではなく、アスリートとしての根本的な姿勢や、体育会の人間としての自覚も教えていきたいと言う。
「常に見られている事を意識して欲しい。例えばだが、練習後にコンビニで菓子を買って店頭でダラダラ食べているなどあり得ないし、見かけたら注意もする。学生たちには何でも言える兄貴分のような立場でもありたい」