福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
俊輔+名波監督で磐田に新しい色を。
2人を知る福西崇史が、語り尽くす。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byKyodo News
posted2017/02/24 07:00
'90年代後半から'00年代前半、Jを代表する司令塔と言えば中村と名波だった。その2人が今、磐田の復権を担おうとしている。
「磐田では味方を活かして、自分が活きていきたい」
サッカー観が似ている一方で、2人に違いがあるとすれば普段の行動というところ。名波さんは現役の頃からそうでしたけど、周囲にどんどん声をかけていくタイプ。シュンは、いわゆるプレーで周りを刺激していくタイプ。ファンの人たちも、そのイメージは強いかもしれませんね。
自分も、2人に対する接し方はちょっと違いました。名波さんについては、さっきも言った通り毎日顔を合わせていた。だからこそ名波さんたちのような年上の選手に対しても、思っていることを言っていく関係性だった。逆に代表だと、年下の選手が多かった。だから「どういう風に言った方が彼らに伝わるかな」と考えつつ、意見を言いやすくしようとしていた部分はありました。
ただ今回話してみると、20代の頃とは考え方が変わってきている、というのは強く感じたところ。彼自身「ジュビロでは味方を活かすことで、自分が活きていきたい」と話していた。そんな彼の変化は、名波さんも気づいてましたね。
チームが勝つために、今の自分は何をすべきか。
もちろん今までのキャリアの中で、シュンは自分勝手にプレーしていたわけじゃないし、マリノス、代表、そして海外のクラブでも、強く勝利を意識していたのは間違いない。
ただ以前はどちらかというと“自分が最高のパフォーマンスを見せることが、チームにとってのベストになる”という責任感を持ってプレーしていた。それは2004年に優勝したアジアカップ、ドイツW杯予選や本大会と一緒に戦っていて、ずっと感じてました。
でも今回、彼と話してみると“チームが勝つために、今の自分は何をやるべきなのか”という風に考えていた。その辺りは、自分がサッカーに取り組む時の優先度が変わったのかな、と。シュンが今まで経験してきたことをジュビロに植えつけていきたいという意識が、本当に強かった。
そういった内面の変化があるからこそ、シュンは今のジュビロに合うと思うし、そこを判断して名波さんも彼を獲得したんだと思います。それと同時にプロ選手なので、もちろんチーム内の競争に負けるつもりはない。ジュビロっていうクラブの色に馴染みつつ自分自身も成長していくんだ、という意欲も持ってますよ。