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次世代サッカーの呼び声も今は昔。
アフリカネーションズ杯の没落。
posted2017/02/22 08:00
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph by
GABRIEL BOUYS
2月7日発売の『フランス・フットボール』誌(FF)は、カメルーンの5度目の優勝で2月5日に幕を閉じた第31回「アフリカネーションズカップ(=CAN、ガボン開催)」の総括をティエリー・マルシャン記者がおこなっている。
FFにはフランク・シモンという、ジャンフィリップ・コワントやエルベ・プノー(ともにレキップ紙)、フィリップ・ジクロフ(ラジオ・フランス)らと並ぶヨーロッパ屈指のアフリカ通がいる。なぜフランクではなくティエリーなのか。事情はよくわからないが、大会に参加したフランス人監督たちのコメントをもとに、実りの少なかった大会をマルシャンが分析している。
潜在的なポテンシャルの大きさは誰もが認めながら、それをいまだ十分に生かし切れていないアフリカが抱える問題は根深い。それでも未来は明るいと、誰もが信じようとしていたが、南アフリカワールドカップでのアフリカ勢の不振で、それが幻想に過ぎないことがわかってしまった。
アフリカサッカーは岐路にさしかかっている。その問題点の一端が、このレポートからもうかがえる。
監修:田村修一
大会そのものは「あまりオープンではなかった」。
乏しいスペクタクルと悲惨なピッチ、熱狂とゴールの少なさ。
優勝もヴィンテージ物のカメルーンに。
「CAN2017」は、ほとんど誰も興奮させることなくその幕を閉じた。
2017年大会は、何よりもゴールの少なさ(1試合平均約2.1点)に象徴される。またスペクタクルの観点からも、決勝こそ密度の高さを示したものの、マリ代表監督のアラン・ジレスが指摘するように、大会そのものは「あまりオープンではなかった」。
ただ、それは、ピッチ状態の悪さと過密な日程を考えれば、決して予想できないことではなかったはずだ。わずか3週間に、それぞれがほぼ4日ごとに試合をおこなう。準決勝第2試合で敗れたガーナなどは、48時間もたたないうちに3位決定戦を戦わねばならなかった。
全32試合で、4得点以上だったのはわずか6試合のみ。決勝も、過去7度優勝(大会最多)のエジプトと、5度目の勝者となったカメルーンの対戦。
新しさは何もなかった。