フランス・フットボール通信BACK NUMBER
次世代サッカーの呼び声も今は昔。
アフリカネーションズ杯の没落。
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byGABRIEL BOUYS
posted2017/02/22 08:00
ネーションズカップ7回優勝のエジプトに次いで優勝回数で2位(5回目)につけたカメルーン。
ベストメンバーが10人以上も抜けていたカメルーン。
カメルーンの優勝自体は驚きではあった。
彼らが最後に勝ったのは2002年、2連覇を成し遂げたこのときはパトリック・エムボマとサミュエル・エトーを筆頭に、ピエール・ウォメ、ローレン、ジェレミー、リゴベール・ソングといった錚々たるメンバーが揃っていた。
今回は違う。
(ベストメンバーを構成する)招集可能な選手が10人以上欠けていた。
その中にはリバプールのディフェンダーであるジョエル・マティプと、シャルケのストライカーのマキシム・チョウポ・モティンクが含まれていた。つまりこのカメルーン代表は、本気で優勝を狙いに行ったチームではなかった。
ベルギー人監督のウーゴ・ブロス――クラブ・ブルージュとアンデルレヒトを率いてベルギーリーグを3度制覇――にしても、チーム構成に強い政治的圧力を受け、大会でベンチに座るかどうか定かではなかった。
だが、1年前にインターネットのやり取りで監督就任を承諾したブロスは、圧力に屈することなく大会に臨んだ。
優勝チームは「とてもドイツ的なチーム」!?
スターを欠いたチームを、彼はコレクティブな力と強い規律で勝利に導いた。とりわけ守備は強固で、大会を通じての失点はわずか3だった。
ただし攻撃力には乏しく、ときに創造性を欠くこともあり、90分で勝利を収めたのはグループステージのギニアビサウ戦と準決勝のガーナ戦、決勝のエジプト戦のみ。トーゴ代表監督を務めるクロード・ルロワ・トーゴ氏(1988年カメルーン代表を率いてCAN制覇)は、次のように述べている。
「試合や大会へのアプローチの方法、メンタルの強さなどとてもドイツ的なチームだ。不屈のライオン(カメルーン代表の愛称)への揺るぎない確信とキャラクターの強さがこのチームにはある」
「常に次の試合のことだけを考え、誰も決勝のことは話さなかった」とブロスも語っている。
彼はダイナミックではあるが技術的にはさして見るべきところのないチームに、屈強な勝者のメンタリティを注入した。カメルーンはギニアビサウ戦に続き、エジプトとの決勝でもエンクルーとアブーバクルのゴールにより後半に逆転したのだった。