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次世代サッカーの呼び声も今は昔。
アフリカネーションズ杯の没落。
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byGABRIEL BOUYS
posted2017/02/22 08:00
ネーションズカップ7回優勝のエジプトに次いで優勝回数で2位(5回目)につけたカメルーン。
相変わらず……指導者がアフリカで育っていない。
大会に臨んだアフリカ人監督は、セネガルのアリウ・シセ、ギニアビサウのバシロ・カンデ、ジンバブエのカリスト・パスワ、コンゴ民主共和国のフローラン・イベンゲの4人だけで、準決勝にはひとりも残れなかった。
アフリカでは今も地元出身監督は難しい。
イベンゲやシセにしても、指導者としての教育はフランスで受けている。
アフリカ連盟は、指導者養成のための基金を創設しようとしているが、地元で教育を受けた監督が表舞台にたつことはまだまだ稀である。カメルーン代表を率いて2000年のCANを制覇したピエール・ルシャントルはこう語る。
「アフリカでは指導者養成がまだまだ機能していない。地元のプレッシャーを受けた協会は、評価の高い外国人監督を無難に指名しがちだ」
ジレスも同意する。
「外国人指導者はエキスパートであり、高い能力を持ち独立性を保っていると評価されている。圧力にもなかなか屈しない。だからミシェル・デュスイエやエルベ・ルナール('12年にザンビア代表、'15年にコートジボワール代表を率いてCANを2度制覇)、クロード・ルロワ、ジョルジュ・レーケンスといったアフリカをよく知る監督たちが高い名声を得る。
そのうえアフリカの選手たちは、今日ますます多くがヨーロッパのクラブに所属してヨーロッパの環境に馴染んでいる。代表チームにしても主力はヨーロッパ組で、その点でもヨーロッパ人監督の方が望ましいといえる」
欧州のコピーではアフリカサッカーは進歩しない!
ちなみに前回の'15年大会決勝では、ピッチに立った全28選手のうちガーナのハリソン・アフル(エスペランス・スポルティーブ・ド・チュニス)ただひとりだけが、アフリカ大陸のクラブに所属していた。今回はエジプトが決勝に進んだこともあり、7人のエジプト選手が地元クラブの所属であった。
「すべては国内リーグのクオリティによる」とルロワはいう。
「とはいえずっと地元で育った選手と、キャリアを積むためにヨーロッパに渡り、二重国籍を取得した選手を区別して考えねばならない。問題は、ヨーロッパのコピーをするだけではアフリカサッカーは進歩しないことだ」