書店員のスポーツ本探訪BACK NUMBER
“銀河系レアル”に小学生が勝利する!?
楽しさを超えたサッカーの本質とは。
text by
今井麻夕美Mayumi Imai
photograph byWataru Sato
posted2017/02/12 11:00
作家の川端裕人が描いたサッカー小説は「銀河へキックオフ!!」との名前でアニメ化もされた。
型にはまらない、五感を駆使したサッカーを実践。
花島の指導モットーは「型にはめない」こと。無口な技巧派の虎太、頭脳派の竜持、直情型の凰壮と、全くタイプの違う三つ子を核に、自分たちで考え戦術を組み立てるチームを目指した。
その練習方法はユニークだ。彼らは社会人フットサルチームや、視覚障害者のチームにも出かけてゆく。そこで学んだフットサルの動きや、ブラインドサッカーの五感すべてを活用したプレーを試合で実践する。
12歳前後の彼らは、技術を学ぶ「ゴールデンエイジ」で、花島の指導、そしてスーパースターの技を画面で観ただけですぐ習得してしまう。その吸収力を生かして、色々なジャンルのサッカーを試していくのは面白い。
自由さを武器にベッカム、ジダン、ロベカルらと戦う。
「少年らしく」、「まっすぐに」、「対等に」。私達は子供のスポーツに対して、こんな理想像を持つ。「未来カップ」の試合シーンでも、琴線に触れるシーンがある。
対戦相手はコーチの指示通りに動く。しかし、桃山プレデターのメンバーは、お互いの個性を理解し、各々状況を判断する。だからだろうか、どんなに敵に追い詰められた場面でも、なぜか自由を感じてワクワクするのだ。
彼らの自由さが最大限に発揮されるのが、レアル (小説内ではレアル・ガラクシア)と戦う場面だ。名前は変えられているけれど、ベッカム、ジダン、ロベルト・カルロスらがモデルとなった選手たちが登場する。