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筒香の覚醒、山崎とロペスの不振。
ラミレス監督は主軸にどう対したか。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/12/21 07:00
本塁打王と打点王の二冠を獲得した筒香。オーラをまといつつある様子はラミレス監督も肌で感じていた。
5番から3番、まさかの打順昇格を告げた瞬間……。
――翌25日の試合ではそれまで5番だったロペス選手を3番で起用。まさかの打順“昇格”でした。
「運転しながら家に帰っている途中、パッと頭に浮かんだんだ。筒香の前を打ったほうがいいボールを見られるんじゃないかと。シーズン序盤に3番で使って結果を残せていなかったし、多くの人から疑問の声があがるのは覚悟していた。彼にとってもチームにとってもぼくにとってもリスクはあったが、ワンチャンスだと決断した。
そのことを伝えようと試合前の監督室にロペスを呼んだが、彼はスタメン落ちか、ファーム行きの宣告を受けると思っていたようだった。『今日から3番だ。信じているから、とにかく1本打とう』という話をすると、驚いたような表情を浮かべながらも『分かった。ベストを尽くす』と言ってくれた。
結果としては、その日の第1打席でシングルヒットが出て、7回にはホームランを打った。その後のジャイアンツとのカードでは計8安打で3連勝に貢献した。彼にとってもチームにとっても最善の選択ができたのではないかと思っている」
目の前の勝利のためには若手よりもロペス。
――監督の最も重要なミッションは試合に勝つことです。一方で、若い選手を成長させたり、ロペスのように調子が悪くても信じて使い続けることも必要に応じて考えなければならない。「勝利」と「選手」のバランスをどのように取ろうと考えていますか。
「ロペスのようなベテラン選手の場合は、不調であっても起用し続けることはそれほど難しくはない。彼らがどんな仕事をしてくれるかはよく分かっているし、ラインアップにいるだけで相手に大きな影響を与えられるからだ。
しかし、若い選手となればプレッシャーにどう対応するのか計算が立たないところも多く、より難しい判断になる。ロペスを例に挙げれば、もちろんチームの将来を考えることも必要だが、目の前の勝利のためには若手を使うよりもロペスを我慢して使っていこうという選択をした。
ロペスはただ『試合で結果が出ていない』という一点を除いてはまったく変わらない姿を見せていたし、常に同じルーティンを崩さなかったが、それは非常に重要なことだ」