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筒香の覚醒、山崎とロペスの不振。
ラミレス監督は主軸にどう対したか。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/12/21 07:00
本塁打王と打点王の二冠を獲得した筒香。オーラをまといつつある様子はラミレス監督も肌で感じていた。
3位キープのため、下ではなく2位の巨人を見続けた。
――ルーティンというものはそんなに大切ですか?
「なかなか見えにくいところだが、桑原(将志)、倉本(寿彦)、戸柱(恭孝)の3人は、ナイターゲームの日にぼくが12時か13時に球場に着くと、すでに汗をかいている。実は、光山(英和)バッテリーコーチや小川(博文)打撃コーチには、『彼らはレギュラーなんだから、こんなに早くから練習させてシーズンもつのか』という話は何度かしたことがある。
でも、驚くべきことだが、そうしたルーティンがあったからこそ、彼らはレギュラーとして戦い続けることができたといまでは思っている。ルーティンの大切さはそういうところに出ているのだと思う」
――8月12日からの10試合を2勝8敗と大きく負け越してしまいます。3位をキープしてはいましたが、下にはスワローズとタイガースが迫ってきていた。どんな心境で戦っていましたか。
「選手たち、コーチ陣もプレッシャーを感じ始めていたのは間違いない。メディアも、ほら見たことか、ベイスターズのことだからここから落ちていくだろうといった予想をしていた。でもぼくは、選手たちにはそう思ってほしくなかった。
下を見ると、ゲーム差が縮まるごとにプレッシャーを感じやすくなるので、上を、2位を見てやっていこうと伝え続けた。ジャイアンツに3連勝(8/26~8/28)したことで3位を死守してCSに一歩近づき、選手たちには『ここに越えなければいけない線がある』という話をした。どんなにいい野球をしても、シーズンが終わってBクラスでは何も変わらない。AクラスとBクラスを隔てる線は絶対に越えなければならない。だから集中して、2位に向かってやっていこうと声をかけ続けた」
カープに対しては、完敗したとは思っていない。
――8月24日には、カープに優勝マジック20が点灯しました。ゲーム差もかなりついていたなかで、当初は「優勝」としていた目標をどのように修正していきましたか。
「シーズン当初は、優勝のチャンスは十分にあると思っていたし、80勝すればその可能性は大きくなると考えていた。だがカープにマジックが点灯した時には、もちろん現実を見なくてはならなかった。2位を目指し、それが無理なら3位を狙うというプランBに切り替えていった。カープには直接対決では互角だった(12勝13敗)し、完敗したとは思っていない。他チームとの対戦成績によってゲーム差は開いてしまったが、カープといい勝負ができたことは来年以降の自信につながっていくと思う」