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あの青木宣親、和田毅も驚いた!
野球人口減少を止めるイベントとは?
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideaki Ujihara
posted2016/12/16 08:00
“野球遊び”では、打つ・投げる・捕るといった運動の基本的な動作を子供たちが自然と会得できる。
野球人口が減り続けている原因は「勝利至上主義」。
プロ野球に足を踏み入れる以前から、大渕は日本の野球界に疑問を持っていた。個人的にアメリカやキューバに渡り、世界の野球文化を学ぶ活動を続けてきた。彼の根底には、その時の経験がある。
「現在、野球人口が減っている傾向にあるんですけど、やっぱりいろんな問題があって、その背景として勝利至上主義がある。子どもの野球なのに、大人が勝ちたがってしまう。例えばいい投手がいると、勝つために監督と保護者がその選手を使い続ける。そのリスクについての知識が全くなく、子どものケガを増加させている。昔は、小学生時代の野球は遊ぶことが主だったはずが、勝たせなきゃいけないという風潮が出来すぎてしまっている。それを、本来の遊びに戻したいというのが今回の趣旨です」
大渕が指摘しているように、日本の野球人口は減少の一途をたどっている。笹川スポーツ財団が発表している「この1年に10代の子どもが実施したスポーツ統計」において、野球は昨年の2位からバスケットボールに抜かれて3位に転落している。サッカーとは20%以上も差を空けられるなど子どもにとって「やりたいスポーツ」としての存在感が小さくなってきている。
プロ野球は盛況、夏の甲子園は連日満員だが……。
確かにプロ野球ビジネスは成功し、スタジアムは盛況。夏の甲子園も連日満員を記録している。しかし、その中にあっても野球人口が減少しているという事実は、その原因が単に少子化だけに留まらないことを表しているといえるだろう。
その理由については、様々な指摘がある。
野球は道具などに費用が掛かりすぎること、スポーツの多様化、プロ野球選手のパブリックイメージの低下、そして指導者の問題だ。いまだに怒号・罵声を響かせ、勝利を一途に目指し続けるアマチュア野球は、スポーツの“本質”から遠いところにある。また、いまだに撤廃されないプロアマ規定など、野球界の発展を阻害している要素は多々あるのだ。