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あの青木宣親、和田毅も驚いた!
野球人口減少を止めるイベントとは?
posted2016/12/16 08:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Hideaki Ujihara
宴もたけなわ、という表現はおかしいか。
1年のシーズンを締めくくるかのように、全国各地にプロ野球選手が散らばり、野球教室イベントに参加している。年内最後の仕事とばかりに、日米を問わずプロ野球選手たちが野球少年に手ほどきをみせる姿に、彼らのプロフェッショナリズムを感じる季節だ。
中でも、一風変わった少年野球のためのイベントを先日取材する機会に恵まれた。
その名も「Hello! WASEDA“プレイボールプロジェクト”~野球を始めよう、楽しもう、学ぼう~」。早大硬式野球部OBの有志たちが集まる、新しい形の野球教室だ。
参加したのは、アストロズの青木宣親やソフトバンクの和田毅、DeNAの須田幸太、日本ハムの斎藤佑樹、有原航平、ロッテの中村奨吾ら。
あまりに豪華な大学OBの登場に驚くが、参加した彼らですら「野球の楽しさを再確認した」と口を揃えた新機軸の野球観を広めることこそがこのイベントの狙いだ。
イベント発起人は日本ハムのスカウトディレクター。
発起人である同大学野球部・OBの大渕隆はいう。
「一般にいわれる野球教室というものではなくて、社会的に意義のあるものにしようと去年くらいから計画してきました」
大渕は、日本ハムのスカウトディレクターを務める人物でもある。
IBM社員、新潟県の高校教員を経て、'06年にプロ野球のスカウトに転身。パワーポイントを駆使して球団の魅力を伝えるスカウト活動を展開し、'08年にスカウトディレクターに就任すると、2012年には、メジャーを強く志望していた大谷翔平の獲得に尽力するなど、スカウト界の風雲児といえる人物だ。
では、いち球団のスカウトが、なぜこのようなイベントを企画したか。彼には、野球界への深い危機感があった。