岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
岩渕GM、女子15人制は最後の大仕事。
2017年のワールドカップ予選が開始!
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph byAFLO
posted2016/12/12 17:00
リオ五輪でも活躍した桑井亜乃は15人制にも代表入りしている。世界の経験をチームに還元することが期待される。
アジアでの日本女子の立ち位置は?
とはいえ、男子の15人制ラグビーと女子の15人制ラグビーには、いくつかの違いもあります。
まずワールドカップに関して言えば、日本と世界のトップを比べた時の実力の差は、男子以上に大きく開いていました。
にもかかわらず、女子の15人制代表が過去のワールドカップで3勝を挙げることができたのは、世界的に見ると男子よりも競技人口が少なく、日本より実力で劣るチームが大会に参加するケースがあったためです。
男子と女子の大きな違いとしては、アジアにおける日本の立場も指摘できるでしょう。
男子では、日本代表は長年、アジアにおいて名実共にナンバーワンの位置を保持してきました。
しかし女子では、1990年代後半から、軍隊をベースに強化に力を入れたカザフスタン代表が躍進。2002年大会以降は、ワールドカップ予選を兼ねた大会でも、日本代表に勝利するようになり、私たちの前に立ちはだかるようになってきました。
男子よりも格段に少ない強化試合の機会。
3つ目の違いとしては、競技人口の少なさや、ラグビーに打ち込める環境の有無だけでなく、ラグビー界全体としての運営のあり方なども挙げられます。
たとえば男子の場合は、1年に2回、6月と11月に各国の代表が集中的にテストマッチを行い、代表の強化を図ることが公的に定められています。対照的に女子の15人制では、このようなシステムは、まだ存在していません。
ヨーロッパでは「シックスネーションズ(6カ国対抗戦)」という大会が毎年開催されていますし、アジアでも、「アジアラグビーチャンピオンシップ」という大会が、2015年から開催されるようにはなりました。
しかし男子に比べれば、各国の代表が強化を図れるような制度自体が、十分に整備されていないのが実情です。