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FAで補強すると成績はどうなるか。
過去のデータで見ると来季巨人は?
posted2016/12/09 11:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
巨人の補強が話題になっている。
日本ハムの吉川光夫、石川慎吾を大田泰示、公文克彦との交換トレードで獲得すると、FA権を行使した山口俊(投手・DeNA)、森福允彦(投手・ソフトバンク)、'13年の楽天優勝に貢献したマギー(三塁手・デトロイト・タイガース)を速攻で獲得し、さらに陽岱鋼(外野手・日本ハム)の獲得も実現しそうだ。
各メディアは「巨大補強」と皮肉を交えながらも一定の評価を与えているようだが、本当だろうか。そこで移籍後も戦力になった選手を対象に、FA選手を獲得して成績が上昇したのか下降したのか、逆に選手を獲られた球団の成績が下降したのか上昇したのか検証してみた。
結論を言うと、FA選手を獲得して成績が上がったのが11例、逆に成績が下降したのが7例ある(横這い1例)。FAは成果が出ているようだ。それでは選手を獲られた側はどうだろう。成績が下降したのが6例、逆に成績が上昇したのが7例、成績横這いが6例である。FAで主力選手を獲られても、それほど痛手を被っていない球団が多いのが意外だ(コラム末尾にデータを掲載)。
2008年の日本ハムは、小笠原を失っても連覇を達成。
獲ったほうも獲られたほうも好成績、という年がある。2007年に小笠原道大を獲得した巨人は前年の4位からリーグ優勝まで駆け上がった。'06年は30本塁打以上(41本塁打)が李承燁1人だけだったのが、'07年は李、高橋由伸、阿部慎之助、小笠原が30本塁打以上を放ち、チーム総本数191本は2位ヤクルトの139本を50本以上離すダントツぶり。小笠原の加入が打線に火をつけた格好だ。
主砲が流出した日本ハムはチーム本塁打が135本から73本に減り、チーム打率.269は1分下げて.259。防御率は3.06から3.22になり、2ケタ勝った投手はダルビッシュ有(15勝5敗)だけ。
それでも攻撃面では、確実に走者を得点圏に進めるスモールベースボールを展開、大方の予想を裏切ってリーグ2連覇を達成した。ちなみに、巨人はペナントレース2位の中日にCS(クライマックスシリーズ)で敗退、日本シリーズに出場できなかった。