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“WBC準決勝に進めるのか”の声も。
小久保監督の少数精鋭策は妥当か?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2016/12/02 11:30
大谷に対して二刀流で挑ませるのか以外にも、小久保監督が思慮すべき案件は数多い。
候補選手はハイピッチで体を作り上げるが……。
ただ、こうした手順を踏んできたのにも、もちろん理由がある。それは合宿でコンディションと適応能力を最終判断して、そこからベストメンバーを選ぼうということだった。
WBCの最大の難しさは3月上旬と、例年ならまだキャンプからオープン戦に入った調整段階に、ある程度コンディションを仕上げなくてはならないことにある。
候補に入った選手たちは、大会を目標に早めに始動する。2月1日からのチームのキャンプでも、意図的にWBC用の調整を行ない、例年に比べたらかなりのハイピッチで体は出来上がっている。
しかし、選手によってはその調整がうまくいかなかったり、また元々がスロースターターで早く作っても本格的に状態が上がるまで時間がかかるタイプも必ずいるということだ。
合宿に選手を多めに呼ぶのにはそういうコンディションを最終判断しながら、3月上旬でのベストメンバーを選出する狙いがある。
投手にとってはメジャー球への適応能力も大きな問題。
それともう1つが11月の強化試合でも改めてクローズアップされた、WBCで使用されるメジャー球への適応能力の判断だ。
これまでもボールへの適応は大きな問題で、第2回大会以降は事前に候補選手にはメジャー球を配布。オフの間にキャッチボールなどで手になじませるように要請してきた。
もちろん代表に入る投手は能力も高く、多くの投手がオフの期間にメジャー球を握ることで、少しずつ扱いに慣れ違和感なくボールを操れるところまでくるものだ。
ただ最終的にどうにもボールがしっくりこない選手というのが出てくるケースもある。
第2回大会の西武・岸孝之投手らは、まさにそれが理由で最終的にメンバーから外れている。そういうことを考えると、2月の最終段階でもう1度、ボールやマウンドへの適性を確認してメンバーを絞り込んでも遅くはないはずなのである。