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本田圭佑の音声データ初公開!
今、明かされる直撃取材の舞台裏。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/11/22 17:00
当初は初対面でもフレンドリーに接していたが……。
――2010年南アフリカW杯以降、木崎さんは足掛け7年にわたって本田選手を継続的に追い続けてきました。しかも、アポなしでモスクワやバルセロナ、ミラノなどに飛んで、出たとこ勝負で本人と取材交渉をするという特別なスタイルで。そもそも、木崎さんが最初に本田選手に出会ったのはいつ頃なのでしょうか?
木崎 2008年にオランダに移住して、当時フェンロに所属していた本田選手に出会いました。その頃は、練習後や試合後に質問をすれば、椅子に座って30分くらい話してくれる選手だった。しかも、20歳そこそこなのに、記者を惹きつけるような発想や言葉を持っていて、初対面の人間にもフレンドリーに接していた。それが、2010年の南アフリカW杯を境に口を閉ざすようになってしまったんです。
メディアや常識とはかけ離れた次元での思考回路。
――確かに、南アW杯で大活躍(2得点1アシスト)をして、一気に時代の寵児になりました。その後、100件以上の取材オファーが殺到したとも聞きますが、一言も発することなく当時所属していたCSKAモスクワ(ロシア)に旅立った。
木崎 今、考えればそれは彼の美学だったのかもしれません。もしくは、僕らメディアや世間一般の常識とはかけ離れた次元で物事を考えていたんだと思います。W杯というのは、人を狂わせる魔力のようなものがあって、僕もそこに取り憑かれていた。2010年の南アW杯では、岡田武史監督の直前での戦術変更が功を奏して日本代表はベスト16まで進出しました。これは事前の期待値からすれば、良い結果だと思います。ただ、僕の中では、この“方針転換”に対する疑問と、ならば早くから決断していればもっと良い結果をもたらせたのではないかという怒りに近い感情があったんです。それを、この大会でヒーローとなった本田圭佑にぶつけてみたかった。