福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
大迫と岡崎、浅野との共存はあるか?
ハリルJの最前線争い、福西が斬る!
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/11/14 17:00
オマーン戦後のコメントでは、「今日は内容よりも得点を取ることしか考えていなかったです」と言い切った大迫。
1トップにも馴染んで、サウジ戦で先発する可能性も。
10月の2試合は代表に招集され続けた選手たちがほとんどでしたが、オマーン戦では丸山、永木、齋藤、そして大迫が先発でテストされた。彼らは代表での出場機会が限られた、もしくは長らく招集されていなかったということもあってか、まずは大きなミスをしないことを優先していました。それだけに少し難しい展開になりそうなところでしたが、大迫がしっかりと先制点のチャンスをものにしたことで、流れを一気につかんでいきました。
大迫にとっての一番大事な仕事場は当然、ゴールに近い位置。そこに入り込んで得点を取ることです。ブンデスでも2ゴールをマークしているし、オマーン戦でも同じように結果を出したということは大きい。それにプラスして日本が採用している1トップにもスムーズに馴染んだ。サウジアラビア戦でもスタメン出場しても不思議ではないと思います。
大迫がもともと持っている良さとしては、チームの置かれている状況やポジションによって“その時に求められているプレー”を柔軟にこなせる点があります。例えばチームが押し込まれている時にはクサビのボールを受けようと、身体を張ってポストプレーをこなして、次の攻撃につなげることができる。
清武のクロスに合わせた先制点の“動き直し”は絶妙!
もちろんチーム全体がゴール前に近づいてきたら、自分自身がシュートに持ち込みやすいような動きも意識している。分かりやすいのは先制点のシーンでしたね。左サイドに流れた清武は軽くフェイントを入れてからクロスを蹴った。そこで大迫はボールの軌道を予測しながら、相手マーカーの視界に届かないスペースに入り込んでヘディングを決めた。清武のプレーに合わせて動き直したからこそ生まれたゴールでした。
大迫は以前から総合力で勝負するFWでしたが、ボールを持たない場面でもゴールをどう狙うかのイメージがさらに高まった印象があります。これはもちろんドイツで結果を残していて、自信と余裕を持ってプレーできているからこその成長ですよね。