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内田・香川以来の快挙まであと1つ!
U-19を支える2人のCBの波及力。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byAFLO

posted2016/10/24 13:00

内田・香川以来の快挙まであと1つ!U-19を支える2人のCBの波及力。<Number Web> photograph by AFLO

今大会に臨んでいるU-19日本代表のメンバー(イラン戦より)。後列左端から冨安健洋、神谷優太、中山雄太、舩木翔、小川航基、小島亨介。前列左端から堂安律、中村駿太、初瀬亮、長沼洋一、坂井大将。

タジキスタンは極端な守備戦術で豪州に引き分け。

 尻上がりに調子を上げて行く形で、決戦の時を迎えることが出来た。だが、負ければ終わりのノックアウトステージとなる決勝トーナメント初戦の相手は、タジキスタン。決勝トーナメントに勝ち上がってきた8チームの中で、ベトナムと並んで戦力的には明らかに格下のチームだ。

 彼らの戦術は極端な守備にある。

 グループリーグ第3戦では5バックを敷き、前線にアタッカーを1枚置いて、ポゼッションで上回るオーストラリアの攻撃を跳ね返し、0-0のドローに持ち込み、得失点差でオーストラリアを上回って2位通過を決めた。

 決して油断が出来ない相手であることは間違いないが、こういう相手にこそ、グループリーグの戦いと同じように、いかにチャンスを数多く作り出し、ゴールの確率を上げられるかがポイントとなる。そこで早い時間帯でゴールを奪うことが出来れば、カタール戦のように一気に日本のペースに持ち込むことが出来る。

「タジキスタン戦はチーム全体が変なボールの失い方をしないことが重要になって来る。だからこそ、個人的には中盤でのミスを無くさせる声を出したいし、しっかりとリスク管理の部分において、ボールのある位置を見て細かいポジショニングの修正をしていきたい」

 前日練習後、中山は冷静にタジキスタン戦のポイントを語り、これまで通りのシャットアウトでの勝利に決意を新たにしていた。

 日に日に頼もしさを増すCBコンビが生み出した、チーム全体への波及効果。その恩恵を受けている今だからこそ、攻撃陣はたとえスムーズにリズムが生まれなくても、焦ること無くビルドアップして攻撃し続けなければならない。それによって日本に対して極端に守勢を敷く相手の粘りを打ち砕くことが出来ることは、グループリーグでの戦いが証明している。

U-20W杯に出場し、東京五輪、そしてW杯へ。

 いよいよ決戦の時を迎えたU-19日本代表。

 10年間閉ざされ続けた扉を開いた先には、2020年の東京五輪という大きな道筋が映し出される。この決戦をモノにした経験値は、来年のU-20W杯とつながり、それが東京五輪から先への強固な土台ともなるはずだ。

「全員一丸となって、死にものぐるいで勝ちにいきます」

 中山は決戦に向けてこう力強く締めくくった。

 東京五輪が初めての“世界との戦い”とならないように。U-20W杯への出場という、ユース時代の重要な積み上げ期間を失わないよう……。

 日本サッカー界を左右すると言っても過言ではない、戦いの火蓋が切って落とされる。

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