“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
内田・香川以来の快挙まであと1つ!
U-19を支える2人のCBの波及力。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAFLO
posted2016/10/24 13:00
今大会に臨んでいるU-19日本代表のメンバー(イラン戦より)。後列左端から冨安健洋、神谷優太、中山雄太、舩木翔、小川航基、小島亨介。前列左端から堂安律、中村駿太、初瀬亮、長沼洋一、坂井大将。
「失点は無い」という意識が、攻撃も活性化させた。
過去の4大会と比べると今大会のCBの安定感はずば抜けており、チーム全体への波及効果も群を抜いている。
グループリーグ3戦を振り返ると、初戦のイエメン戦の前半は、最悪だった。
本来の姿から程遠いプレーの連続に、ピッチ上には絶望的な雰囲気が漂っていたほどだ。しかし、2人のCBは周りの選手達のエンジンがかかるのをじっくり待つかのように、試合開始直後から落ち着いたプレーを見せ続けた。
CBの冷静なプレーで「失点は無い」という安心感が出てくると、後半、セットプレーでのエースFW小川航基(ジュビロ磐田)の先制ヘッドを皮切りに、交代出場をしたFW岩崎悠人(京都橘高校、京都サンガ入団内定)とMF原輝綺(市立船橋高校、アルビレックス新潟入団内定)のゴールで、3-0と勝利を収めることになった。
第2戦のイラン戦は相手のシュートが2度バーに当たるシーンがあったが、それ以外は相手のカウンター攻撃をシャットアウトした。
不運なジャッジも乗り越え、確実に勝利した第3戦。
0-0の引き分けでもグループリーグ敗退の可能性があった、第3戦のカタール戦。
大きな緊張感に包まれながらも、2CBは一切動じること無く精度が高いプレーを見せた。この試合では、CBに呼応するかのようにアタッカー陣も前半から積極的なアクションを見せ、14分には岩崎のゴールで早くも先制している。
29分には右CKから中山がドンピシャのヘッドで沈め、最高の時間帯に追加点かと思われたが……このヘッドはGKの手前のオフサイドポジションでMF堂安律(ガンバ大阪)が反応したため、ノーゴールに終わった。
一度はゴールと宣言され、センタースポットにボールを置くまで進んだ状態からのノーゴールのジャッジは、精神的にも大きなマイナスに働くかと思われたが、このチームは一切崩れること無く、45分に今度は文句無しの追加点をMF三好康児(川崎フロンターレ)が叩き込んで、2-0で前半を折り返した。
後半は前半の勢いのままカタールを圧倒し、62分に小川のヘッドがポストに当たった跳ね返りを、冨安が鮮やかなハーフボレーシュートで叩き込み、試合を決定付けた。
このカタール戦は、グループリーグの中でも最高の内容だった。