話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
ガンバのルヴァン杯はプラスだった!
土台はある、あとは「もう1歩」の駒。
posted2016/10/19 11:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE.PHOTOS
ルヴァンカップ決勝、ガンバ大阪は浦和レッズにPK戦で敗れ、2年連続での準優勝に終わった。
結果は出なかったが、2週間前にJリーグで0-4で大敗したゲームからチームは見事に立ち直り、来季に向けてプラス面、課題の両面が明らかになったという点では、タイトルは取れずとも収穫は大きい試合だったと言える。
10月1日のリーグ戦では、自陣に引いてカウンターを狙った。しかし、攻撃が機能せずただ引いて守るだけになり、駒井善成ら右サイドからの攻撃に防戦一方になった。しかし、今回はラインを上げてコンパクトにしてボールを奪い、ショートカウンターを狙う。あるいは1トップのアデミウソンを使ってシンプルに相手の背後を狙うという攻撃を徹底していた。それが前半17分のアデミウソンの先制ゴールにつながった。
「狙っていた形だった」
遠藤保仁はそう言ったが、実はファーストステージの浦和戦でもアデミウソンは1トップで起用され、結果を出していた。カウンターからスペースに抜けてボールをキープし、ゴール前に走りこんできた宇佐美貴史にうまく合わせてゴールをアシストした。そのイメージが、ガンバの選手の中で共有されていたのだ。
アデミウソン交代は浦和の最終ラインを楽にした。
後半から流れが悪くなったガンバは後半21分、アデミウソンに代えて長沢駿を投入した。長谷川監督の「アグレッシブに戦えなくなったら交代する」という観点からしても、特にアデミウソンの動きが悪くなったようには見えなかったので、なぜこのタイミングだったのかは分からない。前線からの守備を徹底し、流れを変えるために長沢を投入したのかもしれない。
だが、この交代が試合に与えた影響は非常に大きかった。
柏木陽介が「ガンバはアデミウソンが最大の脅威」と語ったように、浦和はこのスピードのあるブラジル人FWを非常に警戒していた。特に最終ラインは1点を取られたことで、もうやられるわけにはいかないという心理的なプレッシャーをかけられていた。正直なところ、アデミウソンは前にいるだけで「重し」として非常に効いていたのだ。
「アデミウソンの交代はうちにとって良かった。これで前の恐さがなくなった」と槙野智章が語ったように、交代によって逆に浦和最終ラインの負担を軽減してしまった。
自ら攻め手を欠いたガンバだが、新しく脅威になるような選手はいなかった。パトリックがいればまた違った展開になっただろうが、長沢を投入した後のベンチメンバーを見るとFWは新人の呉屋大翔だけ。