炎の一筆入魂BACK NUMBER
CSまでの1カ月は“キャンプ”だった!?
新井貴浩も崩れ落ちた広島の猛練習。
posted2016/10/17 17:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Hideki Sugiyama
広島は立ち止まらない。
25年ぶり優勝を決めてから約1カ月後に開幕したCSファイナルステージで、勢いづく青い波を赤い波が完全に飲み込んだ。初戦から王者の野球で、ファーストステージ突破のDeNAを圧倒。3勝1敗で日本シリーズ行きを決めた。
初戦に先発した大黒柱のクリス・ジョンソンが3安打完封でDeNAの勢いを完全に断ち切ると、今季覚醒した野村祐輔が続いた。打線も田中広輔が4試合で打率.833の「神ってる」活躍で打線をけん引し、2番菊池涼介がつなぎ、3番丸佳浩が返す得意の形が随所にみられた。
「自然体」を強調するチームは多いが、中には“自然体を装う不自然さ”があるケースがある。緊張を隠そうとすればするほど、それは自然ではない。だが、広島が真っ赤に染まったマツダスタジアムで見せた野球はまさに、緒方孝市監督が戦前から言い続けてきた「普段着野球」だった。
あくまでも広島のスタイルを貫く戦い方を!
広島がファイナルステージに出場するのは3年ぶり、本拠地でCSを戦うのは球団史上初のことだった。
リーグ優勝決定から1カ月。シーズン最終戦から約10日が経過していた。優勝球団としての重圧とともに、実戦勘のブランクとも戦わなければならなかった。
当初予定していたフェニックス・リーグ参加は、台風の影響もあり取りやめになった。調整期間中に予定していた地元社会人チームとの練習試合も、降雨の影響で2試合から1試合に減った。実戦が当初の予定より大幅に少なくなった。
相手の野球を受けて立たないことも必要だった。あくまで、広島は広島のスタイルを貫くことでこの大一番を戦おうとしたのだ。
シーズン最終戦翌日から全体練習を再開。それ自体は軽めの練習だったが、丸や田中は自由参加だったフリー打撃に加わり、鈴木誠也は緩い球を打ち返す打撃練習を志願した。
そして、2日目からはしばらく、キャンプのようなハードな練習が繰り広げられた。