炎の一筆入魂BACK NUMBER
CSまでの1カ月は“キャンプ”だった!?
新井貴浩も崩れ落ちた広島の猛練習。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/10/17 17:00
日本シリーズ進出を決めた後、ファンへ感謝するナインたち。緒方監督は「一戦一戦カープの野球が出来て、勝つ事が出来ました」とコメントした。
野間が来年使えるようになったら……来年も優勝。
昨季の野間はチーム4位の127試合に出場しながら、今季は21試合出場にとどまっていた。優勝決定前に限ると、11試合にとどまる。伸び悩む野間を東出打撃コーチは来季のキーマンに挙げる。
「野間が来年、独り立ちしたら日本人選手で外野を固められる。そうなったら強い。来年、優勝できるかどうかはあいつにかかっている」
25年ぶり優勝という広島の歴史を塗り替えた今季、ペナントレースは黒田博樹と新井の投打のベテランが両輪となり、チームを走らせた印象が強い。
だが、CSは1番田中を筆頭に「タナキクマル」の同学年トリオ、2戦目に先発して6回無失点の野村など未来の広島を引っ張っていく世代の活躍が目立った。
1安打の鈴木、無安打に終わったCS初出場の安部友裕など、力を発揮できなかった選手もいるが、若い選手が新たな課題を得たことは来季以降の財産になるだろう。リーグ優勝時のように、ベテラン黒田の先発試合で決まらなかったのも、時代の移り変わりを意味していたのかもしれない。
黒田には広島の明るい未来が見えている。自らが先発して優勝を決めた9月10日巨人戦の試合後、確信を持って口にした。
「新井は毎日のように試合に出ていましたけど、若い選手、キクマル、広輔……彼らが引っ張ってくれた。僕らはそれにつられただけ。僕らは優勝経験がないと常に言われていた。若い選手は優勝の経験を得て、これから長い野球人生がある。彼らにとって大きな優勝になればいい」
32年ぶり日本一、そして、その先に待つ未来へ――。
広島は立ち止まらずに進んでいく。