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香川真司が居場所を確保する可能性。
ドルトムントの“新サイクル”考察。
posted2016/09/28 17:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
不満や危機感を覚えなくて、いいのだろうか。
今季のチャンピオズリーグ(CL)のホームでの初戦で、ドルトムントはレアル・マドリー相手に2-2の引き分けに終わった。
ところが、ドルトムント側から聞こえてきたのが、比較的なポジティブな感想だった。
「この結果については満足できるよ。内容を考えれば妥当な結果でもあるね」
そう語ったのは、指揮官のトゥヘルだ。負傷がいえてから初めてメンバー入りし、途中出場から87分に同点ゴールを叩き込んだシュールレの感想もこうだ。
「レアル相手に2度にわたってリードを許したのに、それなりの戦いはできた。だから、良い気分だよ」
彼らがポジティブでいられるのは、なぜなのか。そこに、現在のドルトムントの状況を解くカギがある。
今季が初のCLである監督と選手たち。
レアル戦のスタメンのなかでは、GKのビュルキ、MFではバイグル、ゲレイロ、デンベレが“ポジティブ派”だ。途中出場した選手のなかでは、MFモルとプリシッチ。そしてトゥヘル監督。
彼らに共通するのは、今シーズンキャリア初のCLを戦っていることだ。
初めてCLに挑戦する者が多いドルトムントは、2試合を終えて勝ち点が4、総得点は8を数える。
一方で、現在もドルトムントに所属し、'12-'13シーズンのウェンブリーでのCL決勝メンバーであるゲッツェ、シュメルツァー、ピシュチェク、ベンダーらが初めてCLに挑戦した'11-'12シーズンには、ヨーロッパリーグ(EL)に回ることさえできないグループ最下位に沈んだ。今季のほうが、はるかに良い状況にある。
なぜ、彼らが満足感を示したか。その理由は、昨シーズンをもってドルトムントの1つのサイクルが終わり、新たなサイクルを迎えているということだ。