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香川真司が居場所を確保する可能性。
ドルトムントの“新サイクル”考察。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/09/28 17:30
香川真司がクロップとともに欧州を席巻したドルトムントのサイクルは終わりを迎えた。次のフェーズに進む時が来たのだ。
「周囲を活かす」という武器さえも……。
印象的なのは、ゲレイロが移籍後初ゴールを含む1ゴール、2アシストをマークし、ヴォルフスブルクに5-1で大勝した試合のあとのトゥヘル監督の発言だろう。
「ゲレーロは素晴らしい才能を持った選手であり、彼がピッチに立つことで『周囲の選手のパフォーマンスが向上する』のだ」
香川は今シーズンの意気込みをかたるなかで、ドルトムントにやってきてから最も激しいレギュラー争いについてこう話していた。
「トップ下とサイドは求められるものが違うし、サイドのアタッカーが多い。だから、バイタルで受けられるかどうか、中盤で上手くボールを受けられるかどうか、という意味では、(新加入選手たちの)特徴は僕とは違うところがあると思うので、そういうところでは自分のメリットは感じています。もちろん彼らのスピードだったり、ドリブルの威力はすさまじいクオリティがあるけれど、それ以外のコンビネーションだったり、仲間を活かすことだったり、そういうところをうまく基盤にしてやっていきたいです」
最近の試合におけるゲレーロのパフォーマンスとトゥヘルの評価をあわせて考えると、開幕前にほとんどの人間が予想していなかった形で、香川は真価を問われることになった。
2015年から取り組んできたトレーニングの成果は?
ただ、激しいレギュラー争いは香川自身を大きく成長させてくれるハードルでもある。
さらに、2015年2月からトレーナーと契約して取り組んできたトレーニングの成果が、そろそろ出てきてもおかしくはない。試合に向けて、以前よりも集中して良い心理状態で臨めるようになるなど、メンタル面での効果はすでに出ていた。本格的に取り組み始めてから1年半がたったことで、フィジカル面での成果も期待できる。
決して楽観できる状況ではない。ただ、レベルがあがり、未来にむけて注目が集まるほど、チーム内での競争はやりがいのあるものとなる。新たなサイクルを迎えるドルトムントにおいて、香川はどんな振る舞いを見せていくのだろうか。