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香川真司が居場所を確保する可能性。
ドルトムントの“新サイクル”考察。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2016/09/28 17:30

香川真司が居場所を確保する可能性。ドルトムントの“新サイクル”考察。<Number Web> photograph by AFLO

香川真司がクロップとともに欧州を席巻したドルトムントのサイクルは終わりを迎えた。次のフェーズに進む時が来たのだ。

では、香川真司の立場はどれほど危ういのか。

 それでは、この試合でベンチ外となった香川の場合はどうだろうか。

 まず、この試合でベンチ外になるかどうかは、ギリギリに決まったと言われている。シーズンは長い。そして、トゥヘル監督は状態のよい選手を起用するタイプの監督である。この試合でベンチ外となったことだけで、香川のポジションを騒ぎ立てるのはナンセンスだ。

 ただ、懸念されることが2つある。

 1つ目が、チームのサイクルの問題だ。マンチェスター・ユナイテッドでプレーしていた時期があるとはいえ、香川はクロップの作った旧サイクルに属する選手だ。しかも同じく旧サイクルのピシュチェク、ベンダー、シュメルツァーらと異なるのは、新加入選手の大半が攻撃的なポジションの選手だということだ。

 しかも、“ベテランの外国人”であるという立場は、不利に働きこそすれ有利には働かない。香川と同じ能力のドイツ人選手がいれば、ドイツ人選手が起用される。そして香川と同じ能力の若い選手がいれば、こちらも若い選手が起用されるだろう。

トップ下争いに、また1人強敵が出現。

 そして、もう1つの懸念が、ここに来て急激に評価をあげているゲレイロの存在だ。EURO王者として今季から加入したこのポルトガル代表は、当初サイドバックの選手として加入した。

 しかし、ドルトムントでは中央のポジションで存在感を放っている。レアルとの試合では左MFで先発したが、シュールレが左MFとして途中出場するタイミングで交代を命じられたのは彼ではなく、それまでトップ下を務めていたゲッツェだった。シュールレの途中出場にあわせ、ゲレイロはトップ下にポジションを移し、チームは同点に追いついた。

 今季のドルトムントはここまで4-1-4-1を基本とした布陣で戦ってきているが、トップ下を争う香川のライバルとしてはゲッツェ、カストロに加えて、現在は怪我で戦列を離れているロイスがいる。そして、ここにきてゲレイロもこのポジションでレギュラー争いに加わり、輝きを見せている。

【次ページ】 「周囲を活かす」という武器さえも……。

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