錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
なぜデ杯をダブルスで戦ったのか?
錦織圭「日本はまだ強くなると思う」
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2016/09/20 13:30
試合直後、みんな揃って自撮り写真!(左から、ダニエル、杉田、西岡、錦織) チーム全員の力で、日本はデ杯ワールドグループ残留を決めたのだ。
個人競技だが唯一、チームとして一致団結できるデ杯。
若手だけではない。3年ぶりに代表に復帰した杉田にとっても、錦織の選択が大きな意味を持った。試合後、オンコートでも記者会見でも繰り返し言ったことは、錦織への感謝の気持ちだ。
「錦織選手はシングルスに準備してもいい中、ダブルスを取りにいくというかたちをとってくれたので、まずそのことに感謝したい。彼に力を引き出してもらえて、いいかたちで試合ができました」
翌日が28歳の誕生日だった杉田が、消化試合ではない試合で勝ったのは5年ぶりだった。日本が27年ぶりのワールドグループ復帰を決めた2011年のプレーオフ、それは杉田のシングルス勝利から始まったのだ。18歳でのデ杯デビューもフルセットの勝利で飾った杉田は、デ杯に強い印象だった。
「個人スポーツのテニスで、唯一チームとして一致団結して戦えるのがデ杯。盛り上がるし、プレッシャーはありますけど、パワーが出るし、楽しいです。選手はみんなそうだと思いますけど、注目されるのが好きなんですよ(笑)」
世界レベルだとダブルスのスペシャリストが多くなる。
しかしあのプレーオフ以降、杉田は代表メンバーに選ばれてもシングルスを戦うチャンスを与えられず、起用されたダブルスでは4戦全敗。
杉田だから負けたということではないだろう。
ワールドグループのクラスになると、多くのチームにはダブルス・スペシャリストやダブルス巧者と言われる選手がいるもので、そんな中、日本はダブルスに注力できないことが長い間課題だったのだ。ワールドグループ及びプレーオフでのダブルス勝利は、'07年のプレーオフのあとこれまでに1度しかなかった。
それが、カナダに勝利した2年前のワールドグループ1回戦で、錦織/内山靖崇のペアだった。