錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
なぜデ杯をダブルスで戦ったのか?
錦織圭「日本はまだ強くなると思う」
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2016/09/20 13:30
試合直後、みんな揃って自撮り写真!(左から、ダニエル、杉田、西岡、錦織) チーム全員の力で、日本はデ杯ワールドグループ残留を決めたのだ。
錦織は全て計算ずくでダブルスを選んだのか?
当たり前のオーダーで錦織がシングルスに出ていても、きっと勝ったに違いない。しかし、それでは西岡かダニエルのどちらかはこの喜びと自信を得られなかったし、杉田もこんな高揚感は味わえなかったかもしれない。
錦織は実は全て計算ずくでダブルスを選んだのだろうか――。
それならあまりに出来すぎた話だが、少なくとも、単なる勝利ではなく「チームの成長を伴う勝利」への賭けであり、そこには確かに大きなリスクもあった。
初日については、「2人とも相手のほうが格上だったし、最悪、0勝2敗になるということも頭に入れていた」という。もし最終的に敗れるようなことになっていれば、疲労を理由にシングルスを戦わなかったことにも多少の批判が出ただろう。
勝負師なのだなと思う。
世界トップレベルの勝負師の持つ影響力を、今回また目の当たりにした気がする。
「これから日本はまだ確実に強くなっていける」
2017年も日本はワールドグループ16カ国の中で戦う。シングルスのグランドスラム・チャンピオンを2人擁するスイス、トップ30に4~5人も名を連ねるフランスやスペイン、単複それぞれのグランドスラム・チャンピオンを持つイギリスやセルビアなど錚々たる国々がいるトップグループだ。
「勝ち進んでいくにはまだまだ足りないところがある。でもこれから日本はまだ確実に強くなっていけると思うので、今はしばらく耐えてこのワールドグループにい続けることが最低の目標」
力を込めて語る錦織。このエースに日本チームの力はどこまで引き上げられていくのだろう。不思議な、実におもしろいものを見させてもらっている気がする。