最も損な役回りは次男の菊池だが、打率は3割超え。

　最も損な役回りは、やはり次男ということになるのか。石井琢朗打撃コーチは「3人はすごくマークされている中、我慢してやっていると思う。その中でもキク（菊池）がやっぱり一番我慢しているだろうね」と、目に見えないつなぎ役の献身性を評価する。

　今季は試合序盤、簡単に犠打で走者を進める作戦を取らない。無死一塁でノーサインであっても、菊池は配球や状況に応じて進塁打を打つ器用さと技術を持つ。その中でリーグ最多の安打数を積み重ね、3割を大きく超える打率を残すあたりはさすがである。

　それぞれ強烈な個性を放つ3人が束となり大きな力を発揮している。「1＋1＋1」は「3」以上の力となっている。

　守備でも3人がセンターラインを形成する。菊池と田中の二遊間コンビは連係を高め、数多くの併殺にかかわった。中堅・丸も含め、リーグ2位の53失策の安定感につながっている。河田雄祐外野守備走塁コーチは「センターラインがしっかりしていることが大きいと思う」と認める。

「“タナキクマル”で最後まで引っ張っていきたい」

　緒方野球は「守り勝つ野球」を標榜してきた。それが同時に3人そろったことで、チーム作りは加速した。緒方孝市監督は「1、2、3番が完全に打線を引っ張ってくれている。この活躍はシーズン当初から1人1人が力をつけてくれている証拠。この時期にこうやって力を発揮してくれる活躍は、ものすごく頼もしく感じます」とたたえる貢献度だ。

　2位巨人に引導を渡した8月25日。ヒーローインタビューに呼ばれた菊池は言った。

「去年は“キクマル”が躍動出来なかった。今年は“タナキクマル”で最後まで引っ張っていきたい」

　菊池は昨季、緒方監督就任を受けて丸とともにリーダーに指名されたが、両膝に不安を抱えるコンディションから不完全燃焼に終わった。だが、今年は丸とそろって安定したプレーを続け、そこに同学年の田中が加わった。

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