リオ五輪PRESSBACK NUMBER
「主将として後悔はない」が……。
遠藤航、1次L敗退に噛み締めた現実。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJMPA
posted2016/08/15 14:20
五輪代表チームのキャプテンの遠藤と、OA枠ながら全試合出場を果たした興梠。帰国後は、チームメイトとして、浦和で五輪の経験を生かすことになる。
「ミスを気にして自分のプレーができない選手がいた」
「ミス絡みの失点をした時に、どれだけポジティブにゲームの中で積極的なプレーができるのかというのは、すごく大事なこと。ミスは仕方ないけど、ミスした後にチャレンジしていくような姿勢を個人個人が見せていかないといけない。チームとして守備のオーガナイズができていても最後の個人のところでネガティブになると、今日みたいなバタバタしたゲームになってしまう。試合中、声をかけたけど、ミスを気にして自分のプレーができない選手がいた」
遠藤からすれば、「なぜ切り替えることができないのか」ということなのかもしれない。だが、国際大会の経験がない選手が初戦で緊張し、ミスから失点してパニックになるのは想定できる部分ではある。「切り替えろ」と言われても、大事な初戦の失点に絡めば真面目な性格な選手ほど深刻に悩み、考え込んでしまうものだ。
気になったのは、試合後の守備陣と攻撃陣の温度差だった。「攻撃の選手に申し訳ない」と謝る選手がいる一方、「普通4点取れば勝てるけど」と5失点した守備陣に疑問を呈する選手もいた。ナイジェリア戦の敗戦で前線の選手と後ろの選手の間には微妙な差が生じているようだった。
コロンビア戦前に選手ミーティングは行われなかった。
この試合後、守備の選手たちで集まって、「次の試合は絶対にやってやろう」とコロンビア戦に向けて結束したという。だが、ここで重要なのは、ポジション別に話をすることよりも大事な初戦を失ったことで再度、全選手の気持ちをひとつにすることだったのではないだろうか。そのためにはキャプテンの呼び掛けが必要になる。
2戦目のコロンビア戦前日、「選手だけのミーティングを開いたのか」という問いに遠藤は、「やっていない」と言った。
「今回、タイミングを見てやろうかなと思った時もありましたけど、監督がナイジェリア戦での反省についてポジティブにとらえていて、僕と考えていることが同じだった。監督が言うことがすべてですし、それが選手に伝わればいい。僕がミーティングで監督と同じことを伝えるのもおかしいと思う。もちろん個人個人で試合のこと、ミスした後のメンタリティーのことを話してコミュニケーションを取っている。それに選手が同じ方向を見ていると把握できているので特にやらなくてもいいかなと思っています」