リオ五輪PRESSBACK NUMBER
「主将として後悔はない」が……。
遠藤航、1次L敗退に噛み締めた現実。
posted2016/08/15 14:20
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
JMPA
スウェーデン戦に1-0で勝った数分後、決勝トーナメントへの道が断たれたと知ると、遠藤航はがっかりした表情で腰に手をやり、天を仰いだ。
他力とはいえ、勝って一縷の望みにかけたが世界は甘くはなかった。たった3試合で終わったリオ五輪。涙もなく、淡々と去る遠藤の胸に去来したものはいったい何だったのだろうか。
ナイジェリア戦前日の蒸し暑い夜。遠藤は明日、初戦を迎えるとは思えないほど、リラックスした表情を浮かべていた。
「監督から今日はやり足りないくらいでちょうどいいみたいな話があったし、いい準備ができているとも言われた。ナイジェリアは(飛行機の度重なる搭乗延期で)現地にまだ来てないですけど、相手は1カ月前から準備をしているのを聞いている。相手の状況は気にせず、油断せずに僕らの戦いをしっかりやりながら勝ち点3を取れればいいかなと思います」
遠藤の自信に満ちた、落ち着いた表情が印象的だったが、この時点ではチームに守備の不安をまだ抱えている選手がいた。
ナイジェリア戦の序盤の失点でナーバスになった。
塩谷司は、7月30日のブラジル戦で出た課題としてラインの上下動が足りないことやコンパクトさに欠ける点を挙げていた。攻撃的な守備を実現するために「ボールのとりどころ」についてチームとして意思統一すべきだと考えていた。
ところが、それはまだ整備できておらず、しかも最終ラインはセンターバックと左サイドバックにオーバーエージの塩谷と藤春廣輝が入り、コンビネーションにも不安があった。
ナイジェリア戦は、守備の不安とミスが重なった序盤の失点が選手をナーバスにした。しかも守備がハマらない中、相手がどんどん押してくる。ミスの連鎖が失点を呼び、完全に勝機を失った。4-5、それは遠藤がこのチームで経験した最悪な負け方だった。