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興梠、塩谷、藤春それぞれの五輪。
責任ではなく恩返しを見せて欲しい。

posted2016/08/19 11:30

 
興梠、塩谷、藤春それぞれの五輪。責任ではなく恩返しを見せて欲しい。<Number Web> photograph by JMPA

リオ五輪で、代表そのものへの意欲が興梠慎三の中で変化したのだとすれば、今後の展開に期待が高まる。

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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JMPA

 2年半にわたった手倉森ジャパンの戦いが幕を閉じ、1週間が経とうとしている。

 オマーンで開催された2014年1月のU-22アジア選手権での立ち上げからチームを追いかけてきただけに、23歳以下の選手たちへの思い入れは強いはずが、こうしてしばらく経った今、強く印象に残っているのはオーバーエイジの選手たちの言葉、表情、振る舞いだ。

 浦和レッズの興梠慎三(30)、ガンバ大阪の藤春廣輝(27)、サンフレッチェ広島の塩谷司(27)。

 もともと今回のオーバーエイジは、欧州組の招集が手倉森誠監督の要望とされていた。しかし、所属クラブとの兼ね合いや、9月1日から始まるロシア・ワールドカップ・アジア最終予選を優先させ、国内組からの選考へとシフトチェンジ。そのなかでスピーディな攻撃を仕掛けるためのポストプレーヤーと、ケガ人続出の守備陣を補うディフェンダーが必要となり、この3人が選ばれた。

3人で確認した「チームの和を壊さない」。

 彼らに共通するのは、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いるA代表に選出されながら、決して定着しているわけではないということだ。そして、3人ともこれまで世界大会への出場経験がない。

 しかし、指揮官は7月1日のメンバー発表会見の席で、きっぱりと言った。

「彼らが修羅場を経験していないということは一切考えていない。今回ぜひ、修羅場をくぐらせたいという想いが強かった」

 23歳以下の選手たちと同様、リオ五輪での経験を糧に2年後のロシア・ワールドカップでは日本代表の主力となってほしい――。そんな願いも込められた人選だった。

 3人はいずれもリーダーシップを発揮し、チームを引っ張っていくタイプではない。しかし、だからこそ、チームにスムーズに溶けこんだ。年下の選手たちが話しかけるのを遠慮するようなことはなかったし、チームの雰囲気が変わることもなかった。外から見ていて、違和感を覚えることもなかった。

 その点に関しては彼らも十分気遣っていた。東京の国立スポーツ科学センターでのメディカルチェック終了後、3人だけで食事をした際に強く確認したのが「チームの和を壊さないようにやっていこう」ということだった。

【次ページ】 興梠はすっきりした表情でミックスゾーンに現れた。

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