リオ五輪PRESSBACK NUMBER
「主将として後悔はない」が……。
遠藤航、1次L敗退に噛み締めた現実。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJMPA
posted2016/08/15 14:20
五輪代表チームのキャプテンの遠藤と、OA枠ながら全試合出場を果たした興梠。帰国後は、チームメイトとして、浦和で五輪の経験を生かすことになる。
コロンビア戦、スウェーデン戦と内容は改善も……。
スウェーデン戦は、今大会で1勝を勝ち取るべく、日本らしい戦いで相手を完封した。ナイジェリア戦で落ち込んだメンタルをケアし、コロンビア戦で回復させ、スウェーデン戦で強固にした。短期間で気持ちを整えて失点を5点、2点、0点と抑えていったのはひとつの成功であり、いい経験になった。
「メンタル面での修正の経験は、コロンビア戦で間違いなくできた。特にうしろの選手は失点した後も落ち着いて取り返すという気持ちを押し出していたと思うし、スウェーデン戦ではこれまで先制点を取られている反省点を活かしながらサッカーをして勝って終わった。3試合は少ないですけど、成長した3試合だった。ただ、世界を経験していないという経験不足が出たのかなと思います」
遠藤たちの世代はU-20W杯を経験できていない。初戦の相手ナイジェリアは3大会連続でベスト16に進出し、U-17W杯では2連覇中である。世界の修羅場をくぐってきた経験の差、遠藤が言うようにそれが初戦の結果に結びついたとも言えよう。それは今後、さらに開いていく可能性がある。
だからこそ、3試合で終わるべきではなかった。
主将ながら五輪前の強化試合に参加できなかった。
「ナイジェリア戦では失点しても諦めずに4点取ったり、コロンビア戦も2点ビハインドになってから諦めずに戦って追い付いた。やれることはやれたけど、決勝トーナメントに進めなかったのは、これが今の自分たちの実力なのかなと感じる」
今大会を含め、どんな時でも真摯な姿勢で取材に対応する遠藤は、ここ数大会の五輪で最もキャプテンらしいキャプテンだった。ただ、リオ五輪最終予選はすべての試合を勝利するなどチーム全体に勢いが生まれたため、キャプテンとして特にすべき仕事がなかった。
その後、トゥーロン国際大会はクラブ事情で参戦できず、国内最終戦の南アフリカ戦もケガのためにプレーできなかった。キャプテンでありながらチームで活動できないことに難しさを感じることもあった。これまでキャプテンとして見せ場がなかっただけに、リオ五輪でどんなキャプテンシーを見せてくれるのか。それがリオ五輪で成功するひとつの鍵だと思っていた。しかし、メダルには遠く及ばなかった。