リオ五輪PRESSBACK NUMBER
「もったいない」とは異なる言葉を。
手倉森Jの敗退に必要な検証とは。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJMPA
posted2016/08/11 15:40
自力での決勝トーナメント進出が消えた日本だったが、それでも最後は勝利を手にして見せた。その逞しさは、次につながるはずだ。
国際経験の不足に苦しめられた手倉森監督。
手倉森監督もまた、グループ3位に終わった根本的な原因を「経験不足」に求める。
「このチームの選手たちの技術力を見たときに、足りないものは経験だったなと。U-20のW杯を経験していれば、防ぐことのできた失点はあったと思う。国際舞台で修羅場を経験したことのない監督と選手で、最初につまらないミスをすると痛い目にあうぞと、思い知らされたところはある。それは、いまこの大会だけの問題じゃない」
谷間とも呼ばれたチームがアジアの頂点に立ったのは、U-20W杯に出場できなかった反骨心が大きな支えとなっていた。だが、世界へ舞台が移った今大会では、反骨心と背中合わせの経験不足を露呈してしまった。21歳以下からチームを預かった手倉森監督には、どうしようもできないものだった。
「アジアと世界の戦い方の違いを、柔軟性を持って体感できたメンバーだった。ゴールシーンはどれも、日本人らしいきれいな得点だった。やりかた次第では世界で通用する国になれる、と思えるチームだったなと思います」
手倉森監督が話すように、ゴールシーンは日本の強みをしっかりと表現したものだった。ここぞという場面での決定力には満足できないものの、3試合で7ゴールは評価できる。よくぞここまで取った、と言ってもいい。
だからこそ、もったいないで大会をまとめてはいけない。リオ五輪という“短距離”ではなく、若年層からの歩みという“長距離”で、グループリーグ敗退を検証するべきである。